意外に知られていない遺言執行という制度

せっかく遺言を作成しても,遺言の内容が実現されなければ意味がありません。

遺言を作成する場合に,遺言者は残された家族が仲良く暮らせることを期待しながら遺言を作成すると思いますが,自分が死んだ後に自分の意思が実現されているかを知ることはできません。そのため,こんな不安を抱えているのではないでしょうか。

「この遺言書のとおりに,家族仲良く財産を分け合ってくれるだろうか」

「この遺言書の存在に気がついてくれるだろうか」

「トラブルなく,遺言書に書かれている通りに手続を進めてくれるだろうか」 

遺言執行者を指定して,遺言書を託しておけば,遺言者が死んだ後に,亡くなった遺言者に代わって,遺言者の意思=遺言の内容を実現し,最後まで見届けてくれます。これが遺言執行者なのです。

遺言執行者を指定するメリット

遺言に書かれた内容の中には,相続人の廃除の申立や,認知の届出など遺言執行者がいないとできない手続もあります。

逆に,多くの手続は遺言執行者がいなくても進めることはできます。

ただ,各種の手続は非常に煩雑であり,順調に手続が進まないことがあります。

例えば,相続人以外の第三者に不動産を遺贈する内容の遺言があった場合,この遺贈登記をするためには,相続人全員が登記義務者となり名義変更手続をしなければなりませんが,なかなか相続人全員の協力を得られず手続が進まないということもあります。

この例でも,遺言執行者が選任されていれば,遺言執行者だけが義務者となって名義変更の登記ができます。このように相続人以外の第三者への遺贈を内容とする遺言の場合には,遺言執行者を予め指定しておくのが望ましいです。

また,遺言が相続人に不動産を「相続させる」という内容の場合や相続分の指定がされているだけのものである場合には,遺言執行者は相続手続に関与せず,相続人が手続を行うことになります。

このような場合でも,その財産を相続しない相続人が,先に法定相続分の相続登記をしてしまうなど遺言で指定された相続の妨害をしている場合には,遺言執行者がこの妨害を排除するために活躍することになります。このような場合に備える意味でも遺言執行者の指定は効果的です。

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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