署名・押印がない遺言書は有効ですか?

Q.署名や押印がないが,遺言者本人が書いたことが間違いないと思われる遺言書が見つかったのですが,このような遺言書は,有効になるのでしょうか?

A.署名や押印がない遺言書は必要となりますので、署名や押印がない遺言書は「本人が書いたことが間違いないと思われるものであっても、無効となります。

「自筆証書遺言」は,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,これに押印するという方法により作成します(民法968条)。

 

また,「公正証書遺言」は,証人が2人以上立ち会った上で,遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し,公証人がこの口授を筆記し,これを遺言者及び証人に読み聞かせ,又は閲覧させ,遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認後,各自これに署名押印し,公証人がその証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して,これに署名押印するという方法により作成します(民法969条)。

 

このように,いずれも,遺言者の署名と押印が必要とされています。このように署名と押印が求められる趣旨としては,遺言者が誰であるのか,その同一性を明確にするためのものであると考えられています。

署名や押印がない遺言は無効

ここで,遺言は,民法に定める方式に従わなければ,することができない(民法960条)とされています。ですので,署名や押印がない遺言書は,無効ということになります。

 

とても形式的だと感じられますが,遺言書の効力が生じるのは遺言者の死後であり,その時点では遺言書の文言の真意を語ってくれる者はいないことになるため,このような制度となっています。

 

なお,ここでいう署名というのは,必ずしも本名フルネームでなければならないということではなく,単に氏又は名だけであっても,ペンネームや芸名,屋号などを用いても,遺言書の内容その他から本人の同一性が認識できる程度の表示であれば十分であるとされています(大判大正4年7月3日)。

 

また,押印は,いわゆる三文判でもよく,さらに,手元に印鑑がなく,拇印を押して完成させた場合,「押印としては,遺言者が印章に代えて拇指その他の指頭に墨,朱肉等をつけて押捺することをもって足りる」(最判平成元年2月16日)と解釈されています。つまり,拇印で完成させても有効であるということになります。

 

ただし,ペンネームなどによる署名は,遺言者本人との同一性が本当に認められるのか,微妙なケースも想定されます。三文判での押印も,誰もが入手できるような大量生産された印鑑により押印された場合,本当に遺言書の作成者が押したものか,他の第三者が押したのではないかという争いが起こる危険があります。拇印についても同様で,遺言書の作成者が亡くなった後はご本人が押したものか対照するものがなく,遺言の作成者本人が本当に押したものか,争いが起こることも考えられます。

したがって,せっかく遺言書を作成されるのであれば,フルネームで署名され,実印を用いて押印されることをお勧め致します。

 

遺言書が必要な理由とは

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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