同時に複数の相続人が亡くなったらどうなるのですか?

Q.同時に複数の相続人が死亡した場合,相続はどうなるのでしょうか。


A.大きな事故などにより複数名が亡くなった場合で,亡くなった順番が明らかにならない場合は,これらの方々は,法律上,同時に亡くなったものと扱われることになります。相続関係において詳しいことは下記の解説もご覧ください。

まず,そもそも,事実関係として「同時に」死亡したことを証明するのは容易ではありません。

複数名が亡くなるような出来事といえば,例えば自動車事故や飛行機事故,火災などが挙げられます。このような出来事が発生した場合,その衝撃の大きさから証拠が残っていないことも多く,亡くなった順番を確定することは極めて困難です。

このような場合に備えて,民法32条の2は,「数人の者が死亡した場合において,そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは,これらの者は,同時に死亡したものと推定する。」と規定しています。

したがって,大きな事故などにより複数名が亡くなった場合で,亡くなった順番が明らかにならない場合は,これらの方々は,法律上,同時に亡くなったものと扱われることになります。

複数名が亡くなった順番による影響

では,複数名が亡くなった順番は,相続関係においてどのような影響を及ぼすのでしょうか。

相続人となるためには,被相続人が死亡した時点で生存している必要があります(ただし,胎児については,民法886条において例外が定められています。)。

具体例をもとに考える方が分かりやすいと思いますので,例えば夫婦と子1人の世帯において,夫と子が自動車事故で亡くなった場合を考えてみます。子は,未婚で子(夫婦にとっては孫)もおらず,夫の両親が健在であるとします。また,夫の遺産総額を3000万円,子どもの遺産総額を300万円とします。

夫と子の死亡の先後関係は相続に次のような影響を及ぼします。

1.夫と子どもが同時に死亡した場合,又は死亡した順番がわからない場合

残された遺族は,妻と,夫の両親(子から見ると祖父母)の3名になります。このような場合において,父と子どもの死亡した順番が分からないときは,民法32条の2により,同時に死亡したものと推定されます。

相続するためには,上記のとおり被相続人の死亡時点で生存している必要があり,同時に死亡した場合は,それぞれの間で相続は発生しません。つまり,このケースでは,父は子どもの相続人となることはありませんし,子どもも父の相続人となることはありません。

その結果,まず夫の相続については,妻と,第2順位の相続人である夫の両親が相続人となり,妻が3分の2夫の両親がそれぞれ6分の1ずつ相続することになります。具体的には,妻が2000万円,両親がそれぞれ500万円を相続することとなります。

また,子どもの相続については,夫と子どもの間で相続による財産承継は生じませんので,子どもの直系尊属である妻が唯一の相続人として,子どもの全財産を相続することになります。

2.夫が先に死亡した場合

このケースでは,夫死亡時に子が生存していることになり,相続人は妻と子であり,夫の財産3000万円を妻と子がそれぞれ1500万円ずつ(2分の1ずつ)相続します。

その後,子が死亡していますので,子の財産を妻が唯一の相続人として全て相続することになります。その結果,最終的に妻が,夫と子どもの全財産3300万円を相続することになります。

3.子が先に死亡した場合

このケースでは,まず子の財産を夫と妻が2分の1ずつ相続します。その後,夫の死亡により,夫についての相続人は妻と夫の両親(子供から見ると祖父母)の3名となり,妻が夫の遺産3150万円(子から相続した遺産を含む)の3分の2である2100万円を,夫の両親がそれぞれ法定相続分の6分の1である525万円を相続することになります。

このように,ケースによっては,死亡の順番が異なることで相続人が受け取る遺産額にこれだけの差が生じてくるのです。

なお,民法32条の2の同時死亡の推定は,あくまでも推定ですので,事実と異なることが証明できれば,つまり亡くなった順番を証明することができれば,適用されません。ただし,冒頭に記載したとおり,複数名が亡くなるような出来事(事故など)ですから,現実的には証明が難しいことも多いです。

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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