遺産分割調停を申し立てたほうが良い場合
遺産分割協議がこうなったら弁護士に相談してみましょう
・遺産分割協議を当事者間で進めてみたが、相続人の1人が自分の取り分を多くしたいといってきかない
・主張が対立し、いくら協議を続けても埒があかない
上記のような場合には、遺産分割調停の申立を行うことで、調停を通じて遺産分割が進みやすくなります。
しかし一方で、遺産分割調停に移行しても相続の問題は解決までに非常に時間がかかることも少なくありません。当事務所でも3年以上当事者が裁判所に通わざるを得なくなった事例を経験しており、当事者がストレスを抱え続けた結果,心身ともに疲弊されている姿を見ることもあり,サポートしている立場でも,非常に辛い思いをすることもあります。
遺産分割調停はあくまで、交渉が進展しない案件で利用する解決手段です。
当事務所ではできる限り,交渉で早期に遺産分割を終えることをお勧めしています。ご家族の関係が断裂してしまい調停に進展せざるを得ない状況になる前に、できる限りお早い段階でのご相談をお待ちしております。
当事務所では協議の段階で解決できるように、一度相手方と交渉をさせていただき、裁判所に行かずに済むような解決を目指します。それでも難しい場合に、初めて遺産分割調停の申し立てを検討いたします。
そもそも遺産分割調停とは?
遺産分割調停は、相続人の1人又は複数人が、家庭裁判所に、その他の相続人を相手に申し立てます。
調停では、調停委員を仲介者として、相手方と交渉を進めます。調停は月1回程度行われ、調停委員は仲介者として、遺産分割がまとまるようにアドバイスをしてくれます。
ただし、調停はあくまで「話しあい」であり、裁判官や調停委員のアドバイス等には強制力はないことから、共同相続人のうち一人でも納得しなければ調停による解決はできません。
調停がまとまったら、調停調書にその内容がまとめられ、それにもとづいて相続手続きを行うことになります。
申立てをする場合に必要なこと
では、遺産分割調停を申し立てる際に必要なこととは何でしょうか。具体的に解説していきましょう。
遺産分割調停の申し立てに必要な書類
遺産分割調停の申し立てのためには、裁判所に提出する書類を作成する必要があります。
必要書類は裁判所が指定しています。なお、申立てを行う裁判所によっても必要とされる書類が異なることもありますので、実際に申立てを行う裁判所に問合せを行うようにしましょう。
・調停の申立書(当事者等目録、遺産目録、相続関係図、申立ての実情、特別受益目録、申立書添付書類一覧表兼チェックリスト) ・収入印紙(被相続人の人数に伴って変動) ・郵便切手(相続人の人数に伴って変動) ・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍謄本,改製原戸籍謄本等)の原本全て ・直近3か月以内に取得した相続人全員の現在の戸籍謄本の原本 ・被相続人の住民票の除票の原本(すでに廃棄されてしまっている場合は戸籍の附票の原本) ・直近3か月以内に取得した相続人全員の住民票の原本 |
〇遺産目録に記載されている財産に関する資料
・直近3か月以内に法務局で取得した登記事項証明書(登記簿謄本)の原本 ・直近3か月以内に市町村役場で取得した固定資産評価証明書 ・法務局で取得した公図写しに建物配置を書き込んだもの,または住宅地図(住居表示がされているもの) ・申し立ての時点での預貯金の残高証明書写し、または通帳、証書の写し ・株式の残高証明書写し ・運輸支局で取得した自動車の登録事項証明書写し、または車検証写し ・【相続税の申告をしている場合】相続税申告書写し ・【遺言書がある場合】遺言書の写し |
なお、裁判所のウェブサイトにフォーマットが用意されておりますので、ご参考までにご覧ください。
参考:裁判所ウェブサイト
申立書の作成方法
遺産分割調停の申し立てに必要になる「申立書」は書式が決まっており、記載項目としては下記のようになっております。
・申し立てをする人の氏名・申立先の裁判所名 ・添付書類(上記に記載しております) ・被相続人名・最後の住所 ・申し立ての趣旨・理由 |
そのほか、当事者等目録、遺産目録、特別受益目録については裁判所のウェブサイトにもまとめてありますので、あわせてご参照ください。
参照:裁判所のウェブサイト
調停にかかる期間
遺産分割調停は、「調停期日」といって、裁判所から調停を行う日(期日)の指定がなされます。期日には裁判所に出頭し、調停委員にあなたの主張を伝えていくことになります。
裁判所が毎年まとめている「司法統計」によれば、その「調停期日」の数は2~3回でも少ないほうで、多くは6~10回程度設けられます。場合によっては20回を超えることもあります。
そして期間としては、多くの場合半年~1年、長いと3年を超えることもあり、長期にわたることもあります。
遺産分割調停を有利に進めるために
では、遺産分割調停を有利に進めていくために、当事務所の弁護士から調停期日の流れやポイントを解説いたします。
遺産分割調停期日の流れ
遺産分割調停の申立てが受理されると、その後,裁判所と調停を行う「期日」を調整し,裁判所から相手方(他の相続人)に通知がいきます。
期日には、裁判所に出頭し、調停委員に主張を伝えていくことになります。
裁判所には遺産分割調停の申し立てをした申立人を含めた他の相続人も集まりますが、当事者が調停委員に自分の主張を伝える時は,他の当事者は同席せず,調停委員と当事者が個別に話をすることになり、また調停委員に話す以外の時間は控室で待機することになりますが、その控室も分かれているため、遺産分割調停の当事者が裁判所で顔を合わせることはありません。
※初回のみ、当事者全員に手続内容等を説明するため顔を合わせる場合があります。また,調停成立時にも全員が顔を合わせる場合もあります。
前述の通り、通常は調停期日を積み重ねて調停の成立を目指していきます。全相続人が納得し、調停がまとまると、調停調書が作成され、それが債務名義と言って強制執行もできるような法的効力を持つ文書になります。調停が成立した以上は、調停調書通りの遺産分割をせざるを得なくなりますので、注意が必要です。
有利に進めるために気を付けること
調停は話し合いの場であり,柔軟な解決が可能ですが,遺産分割調停を有利に進めるためには、調停委員に自分の主張を理解してもらい納得してもらう必要があります。
まずは調停委員に自分の主張を理解してもらえないと,相手方に正しく自分の主張を伝えてもらうことはできませんし,自分の主張について納得してもらえないと,相手方を説得してもらうこともできないからです。
また,柔軟な解決が可能とはいっても,調停委員も法的な枠組みを基本として考えますので,言いたいことを何でも伝えるというのではなく,法的に筋が通る主張を丁寧に組み立てて説明する必要がありますし、その説明について納得してもらうためにも,主張を裏付ける証拠を提出することが重要になります。
また,とりあえず何でも主張すれば良いというわけではなく,調停がまとまらずに審判(後述)に移行することを見据えながら対応することも重要です。
なぜなら、調停を進める調停委員をとりまとめる裁判官は、審判を担当する裁判官ですので、調停時に不利な状況になっている場合に,審判で不利な状況を打開するのは難しいことが少なくないからです。
遺産分割調停の代理人を依頼するメリット
調停でも法的知識がないとポイントを外した説明をだらだらとしてしまう結果になり,調停委員に理解してもらうことができないこと、調停委員を介した交渉が大変であることなどから、調停の段階から弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。
相続トラブル=親族間のトラブルですので,自分で調停をされている方の中には,どうしても20年,30年も前から続く不満の数々を述べられたり,感情的な話に終始される方もおられます。
気持ちは理解できますが,それでは調停委員にはご自身の主張などを理解してもらうことはできません。調停を有利に進めるためには、いかに調停委員に納得してもらえるか,更には共感してもらえるかということが重要ですが,1回の調停期日の時間は限られていますので,法的知識に則ってポイントを押さえた説明を簡潔かつ的確に行うことが非常に重要ですし,証拠を準備して、説得力のある主張を組み立てられるかということが重要になります。また、前記の通り、審判に移行することを想定して、主張を組み立てることも重要となります。
そのような主張の組み立てについては、相続に積極的に取り組み、実績の多い弁護士の方が熟知していることが多いかと思われますので、よほど単純な案件か,ご自身の法的知識が豊富で、交渉力にも自信があるということでもない限りは、弁護士に依頼されることをお勧めいたします。
遺産分割審判とは
調停が不調になると審判に進展する
遺産分割の調停で各相続人が納得しない(これを調停の不調と言います)場合、自動的に審判手続きに移行します。遺産分割審判は、調停同様に1か月から2か月に1回のペースで期日が開かれ、通常1~2年、長ければ3年以上かかります。
調停と審判の違い
遺産分割調停では、調停委員が双方の主張を聞き、調停が成立できるように、相続人間で合意形成をするためのサポートを進め、調停が成立すると調停調書が作成され、強制執行もできるような法的効力を持つ文書となります。
遺産分割審判では、裁判官が、双方の主張を聞いたうえで、決定を下します。審判で下された決定は法的強制力をもち、決定の内容には原則従わなければなりません。
審判終了後の流れ
審判が終了すると、原則としては決定に従って、相続手続を進める必要があります。
具体的には、預貯金の解約手続、不動産がある場合は不動産の名義変更手続、財産の分配作業等があります。これらの相続手続を怠ると、後々の相続手続、特にあなたの死後や共同相続人の死後の遺産分割で非常に苦労することになりますので、確実に進める必要があります。
もし審判に不服がある場合は、2週間以内に「即時抗告」する必要があります。なお、即時抗告ができる事件は法律によって決まっており、その即時抗告をするための書面を作っていくには法的な専門知識が必要になるため、できるだけご本人ではなく、法律の専門家に依頼したほうが良いことが多いです。
サポート内容
当事務所では遺産分割が進まない、まとまる気がしない、とお悩みの方に、弁護士より最適なサポートを提供させていただいております。
初回60分無料相談
当事務所では、相続の相談について、初回60分を無料とさせていただいております。
遺産分割について、あなたの不安点を親身にヒアリングさせていただき、弁護士が相続の不安点を解消できるように、ご提案させていただきます。気になることや不安なことがあれば、ささいなことでもお気軽にご相談ください。
遺産分割の事前交渉
当事務所にご依頼いただいた際の状況によっては、最初に一度相手方と交渉をさせていただき、裁判所に行かずに済む解決を目指します。
先述の通り、遺産分割調停に進展すると、相続人の間の関係性を破壊する可能性が高いです。ですので、あなたのご相談をお受けし、協議成立の余地があると考えられる場合、または相手が明らかな誤解をしている可能性が高いと考えられる場合などには、事前に相手方と交渉をさせていただく方針としております。
弁護士による遺産分割調停申立書の作成・提出
遺産分割調停の申立てが必要と判断される場合には、当事務所が遺産分割調停の申立てに必要な書類の作成を行います。具体的には遺産分割調停の申立書の作成、申立てに伴う添付資料(相続財産目録や相続人関係図など)作成のための調査・書類の作成が含まれます。
※郵便切手や収入印紙が必要な場合は、実費にて費用を追加でいただく場合があります。ご了承ください。
遺産分割調停へ依頼者の代理人として調停に参加
裁判所に1人で出頭するのは非常に心細いものだと思いますが,御依頼頂いた場合には,遺産分割調停の期日に、弁護士が依頼者の代理人として裁判所に出頭(または電話会議で対応)し、依頼者の主張を調停委員に説得的に説明しながら、依頼者にとって、有利に進められるように対応いたします。
なお、どのような主張をされたいのかについては、事前に入念に打ち合わせをさせていただきます。また、その際に必要な証拠となる資料をご用意いただくこともございますが、基本的には弁護士があなたの主張したいことをお伺いの上で、調停委員に理解してもらえるように主張を整理し、主張を裏付けるために準備が必要な資料を的確にお伝えします。また,あなたの主張が法的には通すことが難しい場合には,できる限り利益を確保できる妥協案についてもご提案させていただきます。
審判移行時のサポート
遺産分割審判では、法律に基づく主張がさらに重要となります。そのため、ご本人1人で審判に対応するのではなく、法律の専門家に依頼したほうが良いことが多いです。
特に、審判まで進展した場合に、自分の希望を実現するための法的主張をしっかり組み立てるには、弁護士とやりとりすることが重要となります。
相続に積極的に取り組む弁護士は、そういった遺産分割審判においての法的主張の組み方やその裏付けとなる証拠としてどのような資料があり得るのかを熟知しているとともに、法律的に重要な事実を見落とさないように、確実に内容を把握して、依頼者の希望を実現できる可能性が高まるのではないかと思われます。
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お早目に弁護士に相談いただくことで、相続や遺産分割問題について、決定的な対立が生じる前に,解決できる可能性が高まります。
また、遺産分割協議の段階で弁護士に交渉をご依頼いただくことで、比較的短期間で解決できる可能性が高まり、あなたの貴重な時間が奪われずに済み、またご家族・ご親族間の関係性も悪化させずに済むことが多いです。
上記のような理由から、「遺産分割協議が進まないな」「自分が希望する内容での遺産相続ができそうもないな」と少しでも思ったタイミングで弁護士への相談をおすすめしております。
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