相続でよくある「養子縁組による相続トラブル」について
養子縁組は、血縁関係のない人とも法律上の親子関係を結べる制度です。そのため、親戚間や祖父母と孫、ひいては同性のパートナー同士などでもしばしば活用されます。
「親子関係を結びたい」
「孫に遺産を相続させたい」
「相続人を増やして節税したい」
など、養子縁組を利用する理由はさまざまです。その分、養子縁組をしたことによる相続トラブルが多岐に渡るのも事実です。
「養子縁組した子(養子)は実子と同じように相続できるの?」「養子縁組で節税できるというのは本当?」など「養子縁組による相続の問題」について、弁護士歴25年の経験のもと,相続相談実績年間300件以上の弊事務所の弁護士が解説いたします。
実際に当事務所に寄せられた相談事例
事例1
姓を変更したいという理由で養子縁組をし,相続分を主張しないと約束した姉の夫が,父の死後,養子も相続人であるとして,相続分を主張しているが,相続しないという約束を守らなくても許されるのでしょうか。
事例2
私が3歳のときに,父が義理の祖母と養子縁組をしました。私は物心ついたときから数十年にわたって,実の祖母として接してきて,祖母の介護にもあたってきました。私の両親が義理の祖母よりも先に死亡しましたので,義理の祖母死亡時に,私は代襲相続人であると主張したのですが,私には相続権がないと言われました。本当でしょうか。
事例3
父が死亡して遺産分割協議をしようとしていたところ,まったく知らない人物が養子であると名乗り出てきたのですが,どのように対応したら良いでしょうか。
養子縁組をしたことで、相続の際に養子と実子や親族がトラブルになることは少なくありません。養親である被相続人が亡くなられた際には、養子も養親の子として法定相続人となるため、相続権を得ることになります。実子がいる場合、相続が発生したときに養子との間にトラブルが起きないかも気になるところです。養子縁組は、養子となる人や他の相続人にも大きな影響を与えることになるため、事前に相続についてしっかり話し合っておくことが大切です。
養子縁組の場合の相続は何が問題となるのか
養子縁組により法定相続人が増え、本来財産を受け取れた相続人が相続できなくなったり、受け取れる財産が減ってしまったりすることがあります。その結果、自分の取り分が少なくなる相続人が、養子との仲が悪くなり、このことが争いの種になることはよくあります。
そこで今回は、トラブルを避けるため、養子の代表的な例と注意点を相続問題に詳しい弁護士が解説します。
子どもの配偶者を養子にする場合
自分を介護してくれた子どもの配偶者に遺産を残すために養子縁組をするという例もあります。そもそも、子どもの配偶者には、子どもの親の相続について相続権はありません。特に、子どもと配偶者の間に子がいない場合、子どもが先に死亡した後に親が死亡すれば、子どもが代襲相続をすることもなく、配偶者には代襲相続権はありませんので何も取得することができません。
しかし、養子縁組すれば子どもの配偶者は法律上の「子」であり,自分の娘や息子と同じように法定相続人になりますので、遺産相続をさせることができます。
普通養子縁組の場合は、実親との関係も継続します。そのため、養子となった人は、実親の子であると同時に養親の子であるということになります。
その結果、養子縁組した配偶者は、実親の相続においても相続人として相続財産を承継することとができます(民法第887条第1項)。
自分の孫を養子にする場合
孫と養子縁組する人は、相続税対策を目的としていることが多いです。結論として、孫を養子縁組することで、相続税は減らすことができます(なお,節税対策としての養子縁組は「孫」との養子縁組に限定されるものではありません。)。
孫を養子にすることで,「子」として法定相続人になるため、相続税の基礎控除額と生命保険、退職手当金の非課税額が大きくなるのです。つまり、相続税を払わずに受け取れる財産が増えることになります。ただし,養子の数が増えれば増えるだけ,節税が可能ということにはならず,一定の制約があります。
孫と養子縁組する場合、家庭裁判所の許可は不要であり、孫が15歳未満の場合は、法定代理人である孫の親、つまり養親から見ると子どもが、養子縁組の代諾をすることになります。
結婚相手の連れ子
子連れ再婚の場合に、結婚相手の連れ子は,血縁関係もありませんので,当然に親子にはなりません。そこで,再婚相手の連れ子を正式に自分の「子」として,実子と同等の関係性を築きたいと考えられる場合などには養子縁組という手段を講じることになります
本来の相続人の相続分が減ります
養子縁組は、法律上の親子関係を生じさせるものですので、限られた遺産を分けるにあたって,法定相続人の頭数が増えることになります。その結果、養子を含む相続人が多いほど、一人当たりの相続分や遺留分は養子縁組前よりも減ることになります。このことから子ども同士で相続トラブルが起きることもしばしばです。
そのため、子どもが複数人いる場合は、あらかじめ全員に養子縁組のことを周知して了解を取っておくと安心です。
養子縁組の解消は簡単ではない
養子縁組については、無効事由、取消事由以外の理由で、養子縁組自体が無効または取り消されることはありません。
また,前述の「子どもの配偶者を養子にする」場合には、万が一その夫婦が離婚しても、養親子関係は解消されませんので注意しましょう。養子縁組を解消するには、別途養親子である当事者同士で協議のうえ,役所に「養子離縁届」を提出することで、養親子関係を解消することができます。
無効、取消事由に該当せず、また、当事者間で話し合いが難航する場合は、家庭裁判所に「離縁調停」を申立てて、調停委員が間に入って離縁のための話し合いを仲介してくれます。
調停不成立となった場合には、離縁を求める訴訟を提起し、裁判上での解決を目指すことになります。
この場合、離縁が認められるのは、以下の場合に限られます(民法第814条)。
・養親または養子が相手方から悪意で遺棄されたとき
・養親または養子が3年以上生死不明となったとき
・その他、養子縁組関係を継続しがたい重大な事実があるとき
養子縁組やトラブル対策について相続問題に強い弁護士にご相談
養子縁組の成立により、本来の相続人の身分関係や財産関係に変化が起きます。これにより、将来大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。
養子縁組の相続で実際にトラブルが発生してしまった場合は、実績豊富な弁護士が、あなたの代理人として相手と話し合いをすすめ、問題解決に向けて親身にサポートいたします。
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