死亡退職金は相続税の課税対象になる?

Q.私(A)には夫(X)がおり甲社の取締役をしていましたところ,今年の7月に,亡くなりました。Xと私の間には,長男(B)と長女(C)がおり,長女は相続の放棄をしています。
 そして,Xの死亡後3ヶ月経過後に,当該死亡を基因として,甲社から私に役員退職慰労金2000万円,長男には1000万円,長女に500万円が支給されました。
 この退職慰労金に関する相続税について色々教えて下さい。


A.あなたたち(A,B,C)が,甲社から受領した役員退職慰労金の一部については,みなし相続財産として,相続税の課税対象となります。以下詳しく述べていきます。

 

死亡退職金と相続税との関係は?

 死亡退職金は,相続税法により,「退職手当金等」として,課税対象になりえます。

 

 退職手当金等とは,被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与のことをいいます。

 

 退職手当金等を受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。

 相続財産とは通常、被相続人が死亡した時点で被相続人が所有していた財産のことを指すところ、死亡退職金は相続財産そのものではありませんが,その人の死亡に起因する財産であるため,相続したものと同じとみなされ,「みなし相続財産」に該当します。
 「みなし相続財産」は、民法上の相続財産と区別されますが,相続税の課税対象になります。

 

※ 死亡後3年経過後に支給が確定し,遺族が受け取った退職金については,相続税ではなく,一時所得として,所得税(住民税)の課税対象となります。

 

退職手当金等の受取人は?

 被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等は本来の相続財産ではありませんが、相続税の関係では,その支給を受けた人が相続人の場合は相続により取得したものとみなされます。

 

 この場合の「支給を受けた人」とは、次に掲げる人をいいます。

 

 

退職給与規程等により、支給を受ける者として具体的に定められている場合

 

 

その規程等により支給を受けることとなる者

 

 

退職給与規程等に支給を受ける者が具体的に定められていない場合

or

被相続人が退職給与規程等の適用を受けない者である場合

 

 相続税の申告書の提出をする時等までに、退職手当金等を現実に取得した者

 相続人全員の協議により,当該被相続人にかかる退職手当金等の支給を受ける者として定められた者

③ 及び以外のときは、相続人の全員が各人均等に取得

したものとなります

 

 

受け取った死亡退職金全額が課税対象になるの?

 相続人が受け取った退職手当金等はその全額が相続税の課税対象となるわけではありません。

 

 退職手当金等には、遺族の生活保障という目的があるため非課税枠が設けられています。

 

 非課税限度額は次の式により計算した額です。

500万円×法定相続人の数=非課税限度額

 

 なお、相続人以外の人(相続放棄をした人を含む)が取得した退職手当金等には、非課税枠の適用はありません。

 

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 1 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。

 2 法定相続人の中に養子がいる場合の法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。

 

 

具体的に課税される退職手当金等の検討

 

それぞれの相続人の課税対象額は、次の計算式で求められます。

 

その相続人が受け取った退職手当金等の金額-(非課税限度額)×{(その相続人が受け取る退職手当金等の金額)÷(すべての相続人が受け取る退職手当金等の合計額)}

=その相続人の課税される退職手当金等の金額

 

これだけではわかりにくいので,本記事冒頭の事例で考えてみましょう。

 

① 退職手当金等の受取人

配偶者A 受取金額 2000万円

長男B  受取金額 1000万円

長女C  受取金額  500万円

※長女Cは相続放棄をしている。

 

② 非課税限度額の計算

500万円×3人(法定相続人の数)=1,500万円

(注)Cは相続を放棄していますが、法定相続人の数には算入します。

 

③ 各人の非課税金額の計算

 

④ 各人の課税価格に算入される退職手当金等の額

取得退職手当金等 非課税金額 課税価格に算入される額
配偶者A 2000万円 1000万円 1000万円
長男B 1000万円 500万円 500万円
長女C 500万円 0円 500万円

 

弔慰金とは?相続税はどうなるの?

 弔慰金とは、死者を弔い、遺族を慰めるために支給される金品、弔意を表す意味で送られる金品のことをいいます。

 

 被相続人の死亡により相続人等が弔慰金や花輪代,葬祭料等の支給を受けた場合,通常は,相続税の対象になることはありません。

 

 ただし、次の条件を超える部分は,退職手当金等に該当するものとして、相続税の課税対象になります。

 

(1) 業務上の死亡である場合は、死亡時における賞与以外の普通給与の3年分に相当する額

(2) それ以外の場合は、死亡時における賞与以外の普通給与の半年分に相当する

※ ここでの普通給与とは、給料、俸給、賃金、扶養手当、勤務地手当などの合計額です。

 

まとめ

 それでは今回の内容を復習してみましょう。

⑴ 死亡退職金は,相続税の対象となるが,非課税枠が存在する。

 

⑵ 弔慰金は原則相続税の対象とならないが,その額が大きい場合には,例外的に相続税の対象となることがある。

 

 死亡退職金は,被相続人の役職や勤続年数によっては高額になることもありますので、納税額については正確に判断する必要があります。

 

 また、その他の相続財産の有無や額によって相続税の計算が変わってきますので,専門家の助力を得ることが円滑な相続手続きには欠かせません。

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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