相続財産管理人の選任が必要になるケースとは何でしょうか?(上篇)

Q.私には姉X(既に他界しております。)がおり,その姉の夫たるYが先日亡くなりました。私は,Xに先立たれ,ひとり暮らしをしていたYの身の回りの世話をし,Y名義の不動産を事実上管理してきました。
Yが死亡したことで,相続が開始しましたが,相続人が明らかでなく,また,遺言の存否も不明です。Y名義の不動産の扱いを含めて,どうしたら良いでしょうか?


A.あなたは,Yさんの利害関係人として,相続財産管理人の選任の申立を行い,「特別縁故者に対する相続財産分与」という審判手続を行うことで,あなたが管理してきた不動産を相続財産の分与として受けとることができる可能性があります。本記事の最後にはまとめも掲載しますので,お忙しい方は,そちらもご覧ください。

相続財産管理人とは

相続財産管理人とは

相続財産管理人とは,被相続人の債権者等に対して被相続人の債務を支払う等して清算を行い,清算後残った財産を国庫に帰属させることを行う者をいいます。

 

本来,相続人が存在する場合には,相続人が遺産の管理を行い、遺産分割協議を行って遺産を分配します。被相続人が借金をしていたら、相続人らが相続財産の中から債権者に支払ったり、足りない分は自分達の負担で支払ったりします。このように、相続人がいる場合は,原則相続人たちにより遺産は管理されますし、債権者への支払いも行われます

 

しかしながら,相続人が存在しないケースも考えられます。相続財産管理人は,「相続人がいないことで相続財産が放置される」という不都合を回避するために選任されます。相続財産管理人に相続財産を適切に管理してもらい、必要な支払いを行ったり,特別縁故者への分与をしたり,財産を国庫に帰属させたりします。これによって,被相続人の利害関係人は適正な利益を享受できるのです。

相続財産管理人の業務

① 相続人を調査して,確定する
② 債権者への債務の支払い
③ 受遺者への相続財産の承継
④ 特別縁故者(内縁の妻や被相続人の療養看護に務めた者等)への分与の手続き
⑤ 残った財産の国庫の帰属

 

相続財産管理人を選任することのメリット

それでは,相続人がいないケースでも,相続財産管理人を選任した方が良いのは,どのような場合でしょうか。

 

以下の場合には,相続財産管理人選任につき利害関係を有する者として,相続財産管理人を選任することにメリットがあります。

被相続人の債権者

亡くなった人にお金を貸していた人や未払家賃がある場合の賃貸オーナー等、被相続人の債権者は、相続人がいない状態のままでは支払いを受けられません。貸したお金や家賃等を支払ってもらうには相続財産管理人の選任が必要です。 

 

特定遺贈を受けた者

特定遺贈を受けた場合、相続人がいなければ勝手に相続財産を受け取ることができません。特定遺贈の前提として債権者への支払い(清算)を行わなければならないからです。受遺者が自分で負債(借金)の清算を進めることはできないので、相続財産管理人の選任を申し立てて,清算手続きを行ってもらう必要があります。

 

特別縁故者

特別縁故者とは、法定相続人ではないが、被相続人と特別な関係にあった人のことです。たとえば被相続人と生計を同じくしていた内縁の配偶者や被相続人を献身的に介護していた人等です。

 

これらの特別縁故者には、一定限度で遺産から分与を受けることができますが、そのためには相続財産を管理して分与の手続きをしてくれる人が必要です。特別縁故者は、相続人や包括受遺者がおらず、相続財産管理人が相続財産を清算した後に初めて残余財産からの分与を受けることができるため、相続財産管理人選任につき利害関係人になります。

 

ご質問者様は,Yの身の回りの世話をしたということで,Yの特別縁故者になり,一定の財産の分与を受けることができる可能性がありますので,相続財産管理人の選任の申立をするメリットがあります。

※特別受益者の相続財産の分与制度は,あくまでも,相続人がいないことが確定した場合の制度ですので,相続人が1人でもいる場合には分与はされません。

 

相続財産の管理者(相続を放棄した者)

相続人が全員相続放棄をした場合も,相続財産管理人の選任の申立をする典型ケースの一つです。元々相続人である者が相続放棄を行うと,相続人ではなくなります。

 

しかし、相続人でなくなったからといって、相続財産の管理義務まで無くなるわけではありません。

相続放棄した人は、相続財産が適切に管理されるようになるまで、自分の財産と同一の注意義務をもって遺産を管理する義務を負います(民法940条)。

 

もし、不注意によって財産を毀損したら債権者等から損害賠償請求を受けるかもしれません。このような財産管理義務から解放されるには、相続財産管理人を選任する必要があります

 

相続財産管理人が選任されたら、相続放棄をした人は,相続財産管理人に,財産を引き渡すことができるので、相続放棄をした人の財産管理義務はなくなります。

 

相続財産管理人の選任が認められるための要件

家庭裁判所に相続財産管理人の選任を請求するには、以下のような条件を満たしておかなければなりません。

① 相続財産管理人選任につき利害関係があること
  被相続人に債権を有していた場合や、特定遺贈を受けている場合,特別縁故者としての分与を申立てたい場合等、具体的に相続財産管理人を選任して清算手続きを行ってもらうことについて,法律上の利害関係があることが必要です。

② 遺産があること
  遺産がほとんどない場合、費用倒れになって清算をする意味がないので、そのような場合には、相続財産管理人を選任する必要がありません。従いまして,相続財産が一定の額存在することが必要です。

③ 相続人の有無が明らかでないこと
  法律上,人が死亡して,「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」(民法951条。)と定められていますので,相続人の有無が明らかでないことが必要です。

  なお,相続人の存在が明らかであるけれども行方不明の場合には,「相続人のあることが明らかでないとき」にあたらず,相続財産管理人の選任の申立をすることはできません。この場合は,不在者の財産管理制度(民法25~29条),失踪宣告制度(民法30~32条)によって,処理されることになります。

上篇では、相続財産管理人の概念・業務内容・選任するメリット・選任要件をご紹介いたしました。

続きまして、相続財産管理人の選任の手続きと選任後の業務を詳しく説明いたします。

>>相続財産管理人の選任が必要になるケースとは何でしょうか?(下篇)

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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