遺産分割協議における動産や債務の取扱いについて教えてください

Q.遺産分割協議における動産や債務の取扱いについて教えてください。


A.動産(現金、貴金属、自動車など)は相続財産として取り扱います。債務は分割可能であれば当然各相続人に相続されます。

1.動産の分割

「動産」とは,不動産以外のものを指します。

財産的に価値がある動産としては,現金,貴金属,自動車などが考えられます。

これらの動産についても当然に相続財産に含まれ,どのように遺産分割するかを相続人間で協議する必要があります。

動産の具体的な分割方法としては,動産を取得する相続人が代わりとなる調整金を支払う(代償分割),動産を取得する相続人の金銭以外の代わりとなる財産を他の相続人に渡す(代物分割),動産ごとに取得する相続人を決める(現物分割),動産を売却し,その売却代金を分ける(換価分割)といったものがあります。

2.動産についての遺産分割の問題点

相続財産に動産を含む遺産分割協議は,次の理由からトラブルになりやすいです。

まず,動産は,不動産と異なり,持ち運びが容易なものが多いです。

例えば現金や貴金属については,その価値に比して持ち運びが容易であるため,相続開始後に隠匿されたり,紛失してしまったりして,所在不明になるということが起こります。

このようなことを防ぐためには,相続開始後速やかに,現金がいくらあるのか,貴金属などの高価な動産があるのかなどについて,記録を残し,目録を作成しておくと良いでしょう。また,経済的な価値がありそうな動産は,勝手に一部の相続人で分けてしまうようなことがないように注意が必要です。

次に,動産の評価額を巡って争いとなることも多いです。

動産の価値は,遺産分割時の時価により評価することが原則です。現金や,中古の取引市場が存在する自動車などであれば,評価は比較的容易でしょう。

しかし,骨董品など,一般人には価値が分かりづらいものもあり,また,プロによる鑑定でも評価額が異なることもあります。このような理由から,遺産分割の前提となる相続財産の評価額を巡って,争いが生じることが多いのです。

3.債務の相続

次に「債務」とは,マイナスの財産のことです。

相続財産には,現金や預貯金などのプラスの財産だけでなく,当然,借金や,相続開始時点で未払の税金や医療費などの債務も含まれます。債務は,相続においてどのように相続人に承継されるのでしょうか。

結論から申し上げますと,相続財産における債務は,金銭債務などの分割可能なものであれば,相続開始の時点で法定相続分に応じて各相続人に当然に相続されます。

つまり,債務について相続人間で誰が負担するかを遺産分割協議で話し合ったとしても,債権者から相続分に応じた債務の請求を受けた場合には,これを拒むことはできないことになります。

なお、不動産の登記移転義務や物の引渡債務のように,性質上,金銭債務のように分割できない債務については,相続人全員が不可分的に相続することとなり,各相続人がそれぞれ債権者に対して義務を負うこととなります。

債務を引き継ぐ場合

遺産分割協議の際,債務を引き継ぐ相続人を定めることもあるのではないでしょうか。

例えば,事業を引き継ぐ相続人事業に伴う財産と合わせて事業資金としての金融機関からの借入等全て承継するということはよくあることです。

この定めは,債権者に対しては主張できませんが,相続人間では有効です。

したがって,債権者から相続債務の履行を請求された場合には,まずその債務を支払った上で、その分を相続人間で債務を引き継ぐと決定された相続人に対して請求することができます。

ですので,遺産分割協議において,相続債務を引き継ぐ相続人を定めることも全く意味がないわけではないといえます。

また,前記の事業を承継する相続人がいる場合などは,金融機関等の債権者の承諾を得られれば,当該債務については,対外的にも(対債権者との関係でも)特定の相続人のみが債務の支払義務を負うよう処理することも可能です。この場合には,債権者との間で免責的債務引受契約書を取り交わすなどの手続きが必要になります。

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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