相続人が1人であっても遺言は必要ですか?
Q 私は夫と死別し,子どもも1人しかいません。子どもに財産を全て残すつもりですし,法定相続人1人であれば争いになることはありませんので,遺言の作成は必要ないのではないでしょうか?
A.法定相続人が1人の場合でも,遺言を書かれることをお勧めします。
確かに,法定相続人が1人しかいない場合には,相続人間で争いが生じるということはありませんので,遺言がなくても問題がないとも思えます。
しかしながら,遺言があるのとないのとでは,残された相続人が遺産の名義変更をするときの手続が異なってきます。
例えば,不動産を唯一の相続人である子に相続させる場合,遺言がなくても,その相続人(子)が不動産を相続することは同じですが,この場合,その子どもが唯一の相続人であることを明らかにするために【被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本等】を取得する必要があります。
被相続人の全ての戸籍謄本等を揃えるのは,意外と骨の折れる作業になります。
例えば,転籍や婚姻などをされている場合,転籍前や婚姻前の本籍地の市区町村で,除籍謄本や改正原戸籍を取得しなければなりません。また,コンピューター化前の改正原戸籍も取得しなければなりません。
本籍地の市区町村が何度も移動している場合には,ある市区町村で取得した除籍謄本等から前の本籍地を確認し,改めて前の本籍地の市区町村に除籍謄本等を取得するという手続を繰り返していくことが必要であり,手続はかなり煩雑になります。
肉親を亡くし精神的にも滅入っているときに,普段することもない,戸籍謄本を取得する作業を何度も繰り返さないといけないということは,これだけでうんざりするものです。
他方で,遺言書(公正証書遺言以外は検認済であることが必要です。)がある場合には,被相続人(亡くなった方)の戸籍については,被相続人が亡くなったことがわかる戸籍謄本(除籍謄本)があれば足り,出生からの全ての戸籍謄本・除籍謄本を取得する必要はありません。
これだけで,残された相続人の負担は大幅に軽減されます。残された子どもが,親を亡くして精神的に辛い時期に,煩わしい作業から解放されるというのは,相続人である子にとっては大きなメリットではないでしょうか。
ただし,自筆証書遺言の場合には,家庭裁判所に検認の申立をする段階で,被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本等を取得する必要があり,遺言がない場合と同様の作業が必要になります。この点でも,公正証書遺言の作成が望ましいということになります。
また,遺言を作成するにあたっては,本人であれば,当然知っているはずの,御自身の財産の洗い出し,確認をすることになるかと思います。親族でも,どのような財産を保有しているのか(どこの金融機関に口座があるのか,どこの証券会社と契約しているのか等)知らないことも多いかと思います。
そうすると被相続人の死亡後に,相続人が,この金融機関には口座があったはずだということを手掛かりに相続財産の調査をするのではなく,遺言を作成する段階で,財産調査をして,財産の目録を残してあげることは,残された相続人の負担を大幅に軽減することになります。
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