暦年贈与による相続税対策とはどういうものですか?
Q 生前贈与によって相続税対策ができると聞いたのですが,どういう方法でしょうか。また,どのようなメリットがあるでしょうか。
A.贈与は、親などが自分の財産を無償で子や孫等に与える契約になります。贈与によって,被相続人の財産を家族に移転することで,課税対象となる相続財産を減らすことができます。勿論,贈与した場合には,贈与を受けた者に贈与税が課税されますが,贈与税には110万円の基礎控除がありますので,贈与を受けた者が,年間110万円までの贈与であれば,非課税となります。そして,贈与税は,暦年単位で課税されますので,非課税の基礎控除も毎年利用できることになります。したがって,相続対策にかけることができる時間が長ければ長いほど,暦年贈与だけでも効果的な相続税対策ができることになります。
例えば,法定相続人である子が2人いて,それぞれの子に配偶者と子2人(贈与者本人から見ると孫)がいる親族の場合に,子の家族全員に対し,1人につき110万円の贈与をしたとすると,子の家族合計8人に対し,総額880万円の贈与を非課税で実行することができます。この贈与を10年間継続すると総額8800万円の財産が子家族に非課税で移転されることになり,相続時の相続財産が8800万円減少することになります。
簡単な方法でありながら,早く取り組むほど,無税で移転できる額が増え効果的です。
また,贈与による相続税対策のメリットは,税制改正等のリスクを受けず,安心して確実に実行できるという点です。5年後,10年後の相続発生時を見越して相続税対策を講じたとしても,毎年,税法は改正されていますので,現在効果的な相続税対策の手法も,その後の税制改正によって,効果が減殺される危険があります。税制は,相続税対策の時期とは関係なく,相続発生時の税制が適用されるのです。これに対し,贈与による対策は,贈与をした年の税法により課税されますので,現在の税法を確認して実行すればよく,将来の税制改正等による影響を受けないことになります。,
ただし,相続または遺贈により財産を取得した人が,被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた財産があるときには,その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与時の額を加算することとされています。そのため,亡くなる前に慌てて贈与をしても節税効果がありませんので,その点でも早めに対策を実行することが重要です。上記の例でも,法定相続人として財産を取得することになる子2人が相続開始前3年以内に贈与を受けた財産は相続税の課税価格に加算されることになります。なお,上記の例でも,子の配偶者や子(孫)が「相続または遺贈」により財産を取得することがなければ,子の配偶者や子は,生前贈与加算の規定の適用を受けることはありません。
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