相続の開始と手続きの期限
Q 相続はいつから始まりますか。また、相続人が行うことになる手続きとしてどのようなものがありますか。その手続きには期限がありますか。
A 相続は、人の死亡によって当然に開始されます。相続を開始するために特段の手続きは必要ありません。
相続が開始されたら、それに伴い相続人が行うことになる手続きがあり、手続きの中には期限が決まっているものもあります。そのため、四十九日や一周忌を待っていては手遅れになる場合もあります。そこで今回は、相続人が行う手続きの内容とその期限についてご紹介します。
相続の開始と手続きの期限について
相続放棄
亡くなった人の財産には、預貯金や不動産といった積極財産(プラスの財産)と、借金などの消極財産(マイナスの財産)があります。場合によってはマイナスの財産である借金の方が多いということもあることから、相続人は、亡くなった人の財産を相続するか否かを決める必要があります。
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純承認、限定承認、相続放棄を決めることになります。3か月以内に、限定承認または相続放棄を行わない場合は、単純承認したことになります。単純承認とは、亡くなった人の財産を、プラスの財産もマイナスの財産(借金)も含めて全て相続することです。
また、相続放棄を行えば、始めから相続しなかったことになりますので、プラスの財産もマイナスの財産(借金)も相続しないことになります。亡くなった人に多額の借金があり、相続放棄を検討している相続人は相続放棄の期限に注意する必要があります。
遺留分の請求期限
亡くなった人が遺言書を作成しており、相続人がその遺言書によって、遺留分に満たない取り分しか得られない場合、相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することができます。遺留分とは一定の相続人に保証された最低限の取り分になります。
たとえば、全財産を長男に相続させる旨の遺言書が作成されていた時には、他の相続人は長男に対して、遺留分侵害額請求権を行使して遺留分相当額の金銭を請求することになります。
遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に行使する必要があります。また、1年以内であっても、それらを知った日が、相続開始の時から既に10年を経過していた場合には、遺留分侵害額請求権を行使することができなくなります。
遺産分割協議
相続人が複数いる場合で、亡くなった人が遺言書を作成していない場合には、相続人間でどの遺産を誰が相続するのかを話し合い、決定する必要があります。これを遺産分割協議といいます。遺産分割協議については、期間の制限はありません。
しかし、令和3年(2021年)の民法改正で、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割については、原則として、特別受益・寄与分の主張ができなくなり、法定相続分に従った遺産分割協議をすることとなります。
そのため、特別受益・寄与分の主張を検討している相続人は、注意が必要となります。
【民法改正】遺産分割協議に期限が設けられるの?2021年の民法改正のポイントを弁護士が解説>>
相続登記の期限
相続により所有権を取得した者は、相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転登記の申請を行う必要があります。
相続登記は、令和6年4月1日から義務化されます。義務を履行しない場合には、10万円以下の過料に処せられる可能性がありますので注意が必要です。
なお、亡くなった人が遺言書を作成しておらず、相続人が複数いる場合には、相続登記を行うために遺産分割協議書が必要となりますので、その点もご注意ください。
相続税について
相続では、相続税についても考える必要があります。亡くなった人の相続財産の価格が、基礎控除の額を超える場合(3000万円+600万円×相続人の数)には相続税申告を行い、相続税を納付する必要が生じます。
相続税の申告書の提出及び納税は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
所得税について
亡くなった人に事業収入や不動産収入があるときなどの一定の場合には、相続人が亡くなった人に代わって確定申告を行う必要があります。これを準確定申告といいます。準確定申告は、亡くなった日から4か月以内に行う必要があります。
まとめ
以上のように、相続開始後に相続人が行うことになる手続きは様々なものがあり、その期限も長くはないことから、迅速に対応する必要があります。
当事務所は、弁護士歴20年以上の弁護士の経験ノウハウをもとに、多くの専門性を要する相続・遺産分割の相談を受けてきました。机上の法律知識だけでは得られない、多数の相談や解決実績に裏付けられた実践的なノウハウを蓄積しております。
弁護士による相続・生前対策の相談実施中!
岡本綜合法律事務所では、初回相談は無料となっております。
「遺産分割でトラブルになってしまった」
「不安なので相続手続きをおまかせしたい」
「子どもを困らせないために相続対策をしたい」
「相続税対策として、生前贈与を考えている」
「認知症対策に家族信託を組みたい」
などのニーズに、弁護士歴25年の豊富な実績と、税理士及び家族信託専門士を保有している弁護士がお応えいたします。
お気軽にご相談ください。
LINEでも相談予約いただけます!
当事務所の特徴
1、天神地下街「西1」出口徒歩1分の好アクセス
2、税理士・相続診断士・宅地建物取引士(宅建士)の資格所持でワンストップサービス
3、相続相談実績300件以上
4、弁護士歴25年の確かな実績
5、初回相談は無料
遺産相続のメニュー
相続対策のメニュー
- 遺産分割調停の管轄はどこ?~福岡の場合と遠方の場合を解説~
- 遺産分割調停は弁護士に依頼しなくてもできますか?~自分で対応する場合の注意点~
- 生前贈与が発覚した場合、遺留分の請求はできますか?
- 長男が遺産を独り占めしています。何か対処法はありますか?
- 同居している配偶者に自宅を相続させることはできますか?
- 学費・教育費や進学祝いは「特別受益」にあたりますか?
- 相続登記の義務化にあたり、やるべきことや注意点は何ですか?
- 亡くなった夫には前妻との子どもがいます。その子どもと一緒に遺産分割協議をする必要がありますか?
- 亡くなった父の財産の全容が分かりません。遺産分割は可能ですか?
- 生前贈与された不動産は、遺産分割の対象になりますか?