遺言書の日付が間違っている場合は有効ですか?
Q.遺言書の日付が,実際に作成した日と違っている場合,その遺言書は有効でしょうか?
A.「自筆証書遺言」は,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,これに押印するという方法により作成します(民法968条)。
この遺言書の日付が間違っている場合,その遺言書は有効になるのでしょうか。
まず,「自筆証書遺言」に日付が必要とされる理由ですが,作成時における遺言者の遺言能力の有無と内容の抵触する複数の遺言書の前後関係を確定するために必要となります(遺言書は何回でも書くことができますが,前の遺言書が後の遺言書と抵触するときは,その抵触する部分については,後の遺言書で前の遺言書を撤回したものとみなされます(民法1023条)。)。
遺言は,民法に定める方式に従わなければ,することができない(民法960条)とされています。ですので,作成年月日がなかったり,不明確であったりする遺言書は,無効とされてしまいます(大判大正5年6月1日,最判昭和52年11月29日)。年月のみの記載で,日の記載がない遺言書も無効です(大判大正7年4月18日)。年月の下に「吉日」とだけ記載されているものも,具体的にいつ作成されたのか特定できませんので,無効となります(最判昭和54年5月31日)。
しかし,必ずしも特定の年月日をもって記載する必要はなく,例えば「満〇歳の誕生日」というような書き方でも,作成年月日が特定できれば有効とされています。
では,実際に遺言書を書いた日とその遺言書に記載されている日付が異なる場合,その遺言書は有効とされるのでしょうか。遺言書の全文を自書し,署名押印した後,その数日後に当日の日付を記載させて遺言書を完成させたという事案について,判例は,特段の事情のない限り,その日付が記載された日に成立した遺言書として有効であるとしています(最判昭和52年4月19日)。ただし,遺言書の全文を自書した日と,日付を記載した日が離れており,同一の機会になされたと認められないほどであるときは,日付記載の趣旨が失われてしまい無効と解される可能性もありますので,注意が必要です。
以上のことから,せっかく遺言書を作成されるのであれば,遺言書の日付は作成された年月日をしっかりと記載されるのが望ましいということになります。
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