連絡がつかない相続人がいます。 無視して遺産分割協議を進めることはできますか?

Q 私の母は、10年以上前に亡くなっています。私は3人兄弟の末っ子で、長男とは仲が良く、連絡を

 よく取っています。

  しかし、二男については、私も長男も連絡先を知らず、現在どこにいるのかも分かりません。

 


  このような状況の中、先日、父が亡くなりました。父は、遺言書を作成しておらず、遺産は実家の不   

 動産(2000万円)・預金(2000万円)・有価証券です。

 


  二男とは連絡がつかないこともあり、長男と私で話し合って、長男が実家不動産、二男が有価証券、

 私が預金を相続するという内容で、遺産を分割することを考えています。

  連絡がつかない二男を無視して、遺産分割協議を進めてもいいのでしょうか?

A 連絡の取れない相続人がいる場合でも、その相続人を除外して、遺産分割協議を行うことはできませ  

 ん。

 

  遺産分割協議は、すべての相続人が参加して行う必要があります。

 

 

  なお、連絡が取れない相続人を除外して、遺産分割協議を成立させた場合、その遺産分割協議は無効

 となります。

 

  そして、無効な遺産分割協議書では、不動産の名義変更・預金の解約手続きなどを行うことはできま

 せん。

 

  以下で、連絡が取れない相続人がいる場合の遺産分割協議の進め方について解説します。

 

連絡が取れない場合① ~相続人が連絡を無視するパターン~

 

  相続人同士が不仲であるなどの理由により、他の相続人からの連絡を無視する相続人がいる場合は、その相続人に対して、遺産分割協議を放置することによる不利益を説明し、協議に参加するよう説得する必要があります。

 

 遺産分割協議を放置することによる不利益とは、

  ・不動産の名義変更ができないこと

  ・預金の解約手続きができないこと

などです。

 

 また、遺産分割協議が成立していない段階で、相続人の一人が死亡した場合は、その相続人も相続人になるため、相続人の数が増え、遺産分割協議の成立が難しくなる可能性が十分にあります。

 

 

 ~相続手続についてのまとめ記事~ 

 ★相続手続きQ&A – 福岡で弁護士に相続・遺言のご相談をお考えの方へ

 

 

 不動産の名義変更については、令和6年4月1日から相続登記が義務化され、被相続人(亡くなった方)の名義から相続人の名義に変更することが義務付けられています。

 違反した場合には、相続人に過料が科せられる可能性がありますので、ご注意ください。

 

 

 

 ~詳しくはこちら~ 

 ★相続登記の義務化にあたり、やるべきことや注意点は何ですか?

 

 

 連絡を無視する相続人に対しては、遺産分割協議を放置することによる不利益を説明し、遺産分割協議に参加するよう求めなければなりません。

 

 それでも無視を続ける場合には、弁護士に依頼して、遺産分割協議の「交渉」を進める必要があります。

 

 

 ~岡本綜合法律事務所の遺産分割交渉について~ 

 遺産分割問題に強い福岡の弁護士をお探しの方へ

 

 

 

それでも協議が成立しない場合・・・

 

 相続人同士がすでに深い対立関係になっている場合には、説得を試みても、遺産分割協議に参加してくれない可能性があります。

 

 その場合は、家庭裁判所に対し、「遺産分割調停の申立て」を行う必要があります。「遺産分割調停」を申立てることで、裁判所から、連絡が取れない相続人の住所地へ呼び出し状を送ってもらえます。

 

 なお、「遺産分割調停」も成立しない場合には、「遺産分割審判」の手続きに移行します。遺産分割審判においては、裁判所が間に入って、遺産分割の方法を決定するため、最後に作成される「審判書」をもって相続手続きを進めることができます。

 

 

 ~遺産分割調停についてのまとめ記事~ 

 ★ 遺産分割調停・訴訟についての記事

 

 

連絡が取れない場合② ~相続人の所在が分からない~

 

 長らく連絡を取っていない相続人は、所在が分からないこともあります。

その場合、行方の分からない相続人の【戸籍の附票】を取得する必要があります。

 

 相続人であれば、連絡が取れない相続人の【戸籍の附票】を取得することが可能です。

 

 

【戸籍の附票の取得方法について(法務省 公式HP)】

 

 

 【戸籍の附票】には、住民票上の住所の記載があります。判明した住所へ、「遺産分割協議をしたい」内容の手紙を送ることで、遺産分割協議が進むこともあるでしょう。

 

 

不在者財産管理人の選任

 

 住民票上の住所に、現実に相続人が住んでいない場合は、手紙を送っても返答はありません。その場合、家庭裁判所に対して「不在者財産管理人の選任の申立て」を行う必要があります。

 

 「不在者財産管理人」とは、従来の住所や居所を去って、容易に戻る見込みのない者(不在者といいま

す。)の財産を管理する人がいない場合、裁判所に申し立てを行うことで、管理人を選任してもらう手  

続きのことです。

 

 「不在者財産管理人」には、弁護士などの専門家が選ばれることが多いです。

 

 「不在者財産管理人」は、不在者の財産の管理・保存のほか、裁判所の許可を得ると、不在者に代わって遺産分割協議に参加することもできます。

 

 そのため、 行方不明の相続人がいることで、遺産分割協議が進まない場合は、不在者財産管理人の選任によって、相続手続きを進めることができます。

 ~関連記事~ 

 複雑な相続手続きについて

 

 

失踪宣告の手続き

 

 

 連絡が取れない相続人の生死が7年間にわたって明らかでないときには、家庭裁判所に「失踪宣告の請求」をすることができます(民法30条1項)。

 

 「失踪宣告の請求」が行われると、生死不明の7年間が経過した時点で、失踪宣告を受けた者は死亡したとみなされます(民法31条)。

 

 

 もっとも、失踪宣告を受けた相続人に、さらに相続人がいる場合には、代襲相続・二次相続が発生している可能性がありますので、ご注意ください。

 

まとめ

 

 連絡の取れない相続人がいる場合でも、その相続人を除外して遺産分割協議を行うことはできません。すべての相続人が遺産分割協議に参加する必要があり、連絡が取れない相続人を無視して遺産分割協議を成立させた場合は、その遺産分割協議は無効となります。

 

 相続人と連絡が取れない場合は、遺産分割協議を放置することの不利益を伝えたり、所在(住民票上の住所)を調査する必要があります。

 

 また、遺産分割調停の申立てや、不在者財産管理人選任の申立てなど、法的手続きを行う必要がある場合もありますので、まずは専門家にご相談されることをおすすめします。

 

 当事務所は、弁護士歴28年以上の弁護士が在籍しており、多くの相続に関するご相談を受けてきました。机上の法律知識だけでは得られない、多数の相談や解決実績に裏付けられた実践的なノウハウを蓄積しております。

 

 こういった経験から、連絡が取れない相続人との交渉や、相続手続の方法など、相続全般について、皆様に最適なサポートを提供いたします。お悩みの方は是非一度、当事務所にご相談ください。

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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