相続でよくある「兄弟姉妹」の遺産分割・相続トラブルについて

兄弟姉妹間における遺産分割・相続トラブルのご相談は、弁護士歴25年のこれまでの経験の中でも,比較的多い類型になります。なおかつ、家庭裁判所において処理されている遺産分割に関するトラブル(調停・審判)のうち、3割は故人の遺産が1000万円以下のご家庭で発生しております。

 

「私たち兄弟(姉妹)は、仲も良いし、遺産分割協議でもめる、ましてや相続トラブルが起きるわけないよ」

「遺産も少ないからトラブルになることもないよ」

とお考えの方も多くいらっしゃるかと思います。

 

しかし、ご家族・ご親族が亡くなり、兄弟姉妹間で相続トラブルが発生すると「こんなはずじゃなかった…」と後悔されることになりますし,仲のよかった兄弟姉妹が相続を巡って奸悪な関係になってしまうケースも実際多く存在しています。

 

本記事で「兄弟姉妹間の遺産分割・相続トラブル」について、弁護士歴25年の当事務所の弁護士が解説いたします。この記事を通して、そのような後悔がなくなるように、またすでにトラブルになってしまった方には今後の参考になれば幸いでございます。

「兄弟姉妹」間で遺産分割トラブルが発生する原因

兄弟姉妹間で遺産分割・相続トラブルが発生する原因として、典型的なものをまとめました。

相続分は長男が一番多くもらえる等と主張して譲らない人がいる

兄弟姉妹の中で、「家督相続」を前提として考えている方がいらっしゃる場合、上記のような「長男が一番多く相続できる」と主張して,これを譲られない場合があります。

 

現在は、民法で定められた法定相続分を1つの目安にして、ある程度形式的に平等に相続するようになっておりますが、上記の主張を譲られない場合には、遺産分割協議が止まってしまう可能性があります。

 

勿論,先祖伝来の不動産や農地を後継者がまとめて相続するなど,家族の中での役割に応じて相続をするということは一定の合理性はありますが,その場合は遺言の作成などで対応すべきであり,遺言も残されていないのに,上記のような主張をして譲らない人がいると遺産分割が進まないことになります。

 

遺産分割が難しい財産が多く、どうしても不公平になってしまう

故人の残した遺産の中でも、遺産分割が難しい財産、特に不動産が財産の中に占める割合が大きい場合には、その不動産をどのように分けるか、また分けられない場合どうするのかがなかなか決まらず、遺産分割協議が進められなくなる場合があります。兄弟姉妹で幼少期から過ごしてきた思い出が詰まった実家を誰が相続するのか,先祖伝来の不動産をだれが承継していくのかという点で話がつかないということもありますし,逆に最近は田舎の不動産などは管理ばかりが大変で,誰も相続をしたがらないということもあります。

疎遠だった兄弟姉妹が、親が亡くなったことを聞きつけて、相続分を主張する

「親に勘当された」

「実家を出ていったっきり帰ってこない」など

あなたや故人と疎遠な兄弟姉妹がいる場合、訃報や遺産分割協議のお伺いの連絡を聞きつけて、相続分を主張する場合があります。普段から連絡を取り合っている兄弟姉妹であれば,気心も知れており,意思疎通もできますが,関係が疎遠な場合には,同じ兄弟姉妹であっても,家族への思いが食い違っていることもあります。

 

また、相続人を調査した結果,故人の以前の配偶者との子がいたなど、あなたご自身やあなたのご家族が知らない相続人が存在することが判明した場合などは要注意です。穏便に進めるためにも、相続人調査を通して、誰が相続人か、またどのような関係性なのか、加えてどのように進めると円満に遺産分割協議が進められるか等について、慎重に検討する必要があります。

 

兄弟姉妹があなたに対して生前贈与があったと言ってくる

亡くなった親から、高校・大学への進学のための教育費用や、住宅の購入・建設費用、結婚式の費用などを過去もらっていたことはありませんか?

 

そのような場合に、あなたの兄弟姉妹が、これらの援助を生前贈与であり、「特別受益」に当たるから,あなたの相続分は少なくなるはずだ、と主張してくる場合もあります。

 

特別受益の対象となるもの一例を下記に記載いたしますが、個別具体的な内容については、一度弁護士にご相談いただいたほうが良いでしょう。

 

・生計の資本としての贈与 …具体的には住居とするための建物・土地の贈与、不動産購入のための資金の贈与
・普通教育以上の高等教育を受けるための学費
・遺贈
・扶養義務の範囲を超えた生活費の援助

親と同居していた兄弟姉妹が、「寄与分がある」と主張してくる

親が住んでいた家に同居している兄弟姉妹が、

「介護をしていた」

「生活費を親に渡していた」ということを言いだし、

自分は特別な貢献をしており,「寄与分」が認められるべきだ、と主張される場合があります。

 

寄与分を主張するには、通常の親族関係を超えて別な貢献をしたことを主張するとともに,この主張を裏付けるための証拠(例えば援助をしたことがわかるレシートや通帳,介護につくしたことが分かる資料など)が必要となりますが、これを主張する兄弟姉妹がこのような資料をなかなか提示してこないこともあります。ご自身で協議を進めることが難しい場合が多いため、弁護士を通して、協議を進めざるを得ない場合が多いでしょう。

 

また、場合によっては、親と同居していた兄弟姉妹が、親の預貯金を使い込んでいる可能性もあります。このような可能性がある場合も、弁護士に一度ご相談されたほうが良いでしょう。

親と同居していたあなたに対して「預貯金の使い込みをしている」と主張してくる

上記とは逆に、あなたが親と同居していた場合やあなたが親の預貯金などの財産を管理していた場合に、「親の預貯金を勝手に使いこんでいる」という言いがかりをつけられる可能性があります。

 

この場合でも、預貯金から出金したお金を何に使ったのかを一定程度説明し,資料(証拠)をもとに反論をすることが必要になる場合がありますが,例えば同居や財産を管理している期間が長いと,この説明や資料(証拠)の整理だけでも大変です。また,生前に贈与として受け取っている財産が見つかって,それがトラブルを拡大することもあります。

兄弟姉妹間の遺産分割や相続トラブルを防止するには

では、遺産分割や相続トラブルに発展しないようにするためにはどうすればよいのでしょうか?

 

残された家族が争うことなく幸せに暮らしていけるために,弊事務所では,生前にご自身の思いを形にした遺言の作成をお薦めしています。

 

残念ながら遺言を残さずに亡くなられた場合,兄弟姉妹で遺産分割協議を進めていく必要がありますが,ちょっとした不注意な発言や行動で,他の兄弟姉妹に不信感を抱かせることがあり,そのような場合には紛争へと発展する危険性があります。兄弟姉妹での遺産分割協議では,お互いに疑心暗鬼にならないように,適時適切な情報開示が重要になります。

故人の死後、なるべく早めに相続人と相続財産を調べ、全容を把握する

故人が亡くなり、直後に必要な手続きや葬儀・法要が終わったら、なるべく早く、相続人と相続財産をお調べいただき、誰にどのくらい相続財産を分配しないといけないか等についてしっかりと把握しておきましょう。

 

もし調査等の作業をする時間的な余裕や気持ちの余裕がなかったり、相続トラブルが発生する可能性を専門家に判断してもらいたいという方は、当事務所の弁護士による「相続人・財産調査パック」をご利用いただくことをお薦めいたします。

少しでも「遺産分割協議が進まないな」と感じたら弁護士にご相談いただく

実際にあなたの兄弟姉妹とともに遺産分割協議を進めていく中で、少しでも「遺産分割協議が進まないな」「これはまとまりそうにないな」と感じることがありましたら、なるべく早いうちに弁護士にご相談いただければ、協議・交渉の段階で必要なことをお伝えすることが可能です。場合によっては弁護士より、交渉の代行や調停の申立をすることを提案させていただき、あなたの希望する解決方法に導けるようサポートいたします。

兄弟姉妹間の遺産分割や相続トラブルはまず弁護士に無料相談

当事務所では、弁護士歴25年の経験に基づく適切なサポートをさせていただいています。弁護士が関わることで、遺産分割問題の解決が、より早期に実現できる可能性があります。

 

もし兄弟姉妹間で相続トラブルになりそうだと感じたら

これから兄弟姉妹間で遺産分割協議を進める中で、トラブルになるリスクがあるかもしれない、という方はあらためて「兄弟姉妹間で遺産分割・相続トラブルが発生しやすい理由」や「相続トラブルの原因」をお読みいただき、もし必要だと感じられましたら、「相続人・財産調査パック」をご利用いただき,相続トラブルの発生可能性を診断していただくことをお勧めいたします。

すでに兄弟姉妹間で相続トラブルになっている場合

すでに兄弟姉妹間で話し合いが進まない状態や、話し合いが成立しない状態が続くなど、遺産分割・相続トラブルが発生している場合、そのままご自身のみで交渉を進めることは非常に難しいと考えられます

 

さらに、遺産分割調停に進展してしまった場合は、法的主張や主張を裏付けるための証拠を集めたり,整理したりする必要がありますが、それを自力で進めることは、よほど法的な知識をお持ちでない限り困難を極めます。

 

あなたとあなたの兄弟姉妹との間で遺産分割協議を進める中で、「相手が話し合いに応じない」「相手が主張を一切曲げない」など、遺産分割が進まないと感じたときは、すぐに弁護士に相談しましょう。

 

相続トラブルに強い弁護士によるサポートについて

当事務所の弁護士は、遺産分割問題の対処として、調停・審判といった裁判所に出向いて解決する方法に限らず、可能な限り相手方との交渉による解決を第一とし、ご依頼者様の希望を実現できるように努め、早期に解決に導くサポートをさせていただきます。まずは一度、ご相談ください。

遺産分割でお困りではありませんか?

兄弟姉妹間の遺産分割や相続トラブルでお困りの方は、当事務所の弁護士の無料相談をご利用いただき、今後の方針をご検討いただくとよいでしょう。

 

初回60分無料相談

当事務所では、相続の相談について、初回60分無料とさせていただいております。兄弟姉妹との遺産分割協議が必要な相続について、あなたが不安に感じておられる点などを親身にヒアリングさせていただき、弁護士が不安点を解消できるように、ご提案させていただきます。気になることや不安なことがあれば、些細なことでもお気軽にご相談ください。

遺産分割サポート

兄弟姉妹間の遺産分割について、あなたのご希望をお伺いしたうえで、ご希望を実現するお手伝いをさせていただきます。相続財産の分け方を相続人同士で協議する遺産分割について、交渉や法的手続のプロフェッショナルである弁護士がサポートいたします。

具体的には、遺産分割に関する書類作成や遺産分割の交渉をあなたに代わって進める代理人の依頼、調停や審判に進展してしまった場合の代理人の依頼を、弁護士歴25年の相続に強い弁護士がお受けいたします。
※遺産分割協議から調停・審判に進展した場合、追加で着手金(ご依頼いただいた際にいただいている前金)をいただいております。

弁護士への相続の相談をご検討されている方へ

お早めに弁護士に相談いただくことで、相続や遺産分割問題について、あなたのご希望に可能な限り応えられる解決を実現する可能性が高まります。

 

また、遺産分割協議の段階で弁護士に交渉をご依頼いただくことで、比較的短期間で解決に進められる可能性が高まり、あなたの貴重な時間が奪われずに済み、またご家族・ご親族間の関係性も悪化させずに済むことが多いです。

 

上記のような理由から、「遺産分割協議が進まないな」「自分が進めたい遺産相続が進められなさそうだな」と少しでも思ったタイミングで弁護士への相続の相談をおすすめしております。

 

弁護士による相続・生前対策の相談実施中!

岡本綜合法律事務所では、初回相談は無料となっております。

「遺産分割でトラブルになってしまった」

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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