相続財産に株式が含まれている場合,どのように相続手続きを進めていけばいいでしょうか?(上篇)

Q.私の母は,株式投資が趣味であり,色々な株式を保有していたようです。母が亡くなり,相続が開始したのですが,どのように相続手続きを行っていけばよいでしょうか?


A.通常の相続手続と共通する部分も多いですが,株式は価値が大きく変動する可能性があること,非公開株式の場合には評価の算定が困難であること,譲渡が自由にできず複雑な手続を要する場合があること等に注意が必要です。

株式を相続する場合

株式を相続する場合の大まかな流れは以下のようになります。

 

遺言書が有るのか無いのか,どんな内容なのかを確認する
   ↓

(遺言がない場合)
相続人を調査し,確定する
   ↓

相続財産(株式を含む)の調査を行う
   ↓

相続を承認するのか放棄をするのか決定する
※原則として相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内
   ↓
準確定申告を行う

※相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に申告と納税
   ↓

相続人が複数いる場合は遺産分割協議を行う
   ↓

株式の名義変更手続を行う
   ↓

相続税がかかる場合は,相続税の申告と納付を行う
※被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内
   ↓

株式を売却して現金化する(希望する場合)

 

 

遺言書の確認

遺言書が有るのか無いのか,どんな内容なのかを確認する。

 

遺言書が存在する場合は、基本的には、遺言書で指定されたとおりに財産を相続する(または遺贈を受ける)ことになるため、まずは、遺言書の有無とその内容を確認します。

 

なお,遺言内容と反する内容であっても,相続人全員による遺産分割を行うことはできます。また,遺言の内容が遺留分を侵害するような場合には,別途遺留分侵害額請求権が認められます。

 

相続人を調査し確定する

遺言によって全ての財産について誰が相続等するのか決まっている場合は必要ありませんが,そうでない場合には,相続手続きを進めていくためには,相続人が誰であるかが極めて重要になります。この点は,相続財産に株式が含まれている場合であってもそうでない場合であっても同じです。

 

「相続人が誰かなんてわかっているよ!」とお思いの方も多いと思いますが,相続人調査とは,財産の名義変更などをしてもらう法務局や銀行,証券会社等の第三者に相続人が誰であるのかを理解してもらうための資料(戸籍謄本等)を収集する作業というようにご理解ください。また,稀に相続人調査をしている段階で,自分の知らない兄弟がいたことが明らかになるケースもあります。

 

相続人の調査は,被相続人(財産を継承させる人)の,生まれてから死ぬまでの戸籍等を収集して調査することにより行います。

相続財産(株式を含む)の調査を行う

相続手続きを進めるためには,どのような財産を被相続人が生前有していたのか,相続財産を調査し,確定していかなければなりません。株式であってもそのことに変わりはありません。

 

基本的には銀行などにおける手続の流れと共通していますが,証券会社を通じて管理している場合に特有の手続を中心に確認してます。

 

上場株式の調査

株式には,証券取引所で取引をされている上場株式と証券取引所では取引できない株式(その多くは,譲渡が制限されている非公開株式)があります。質問者様のお母様は株式投資が趣味ということであり,おそらくは証券会社に口座をもって,上場株式を売り買いされていたのだと思われます。

 

このような場合には,証券会社に連絡してみましょう。どこの証券会社に口座を有していたのかは,郵便や,メール,インターネットの履歴,証券取引ツール等を見ることなどで確認することができます。

 

そして,取引をされていた証券会社が分かれば、相続人として取引残高報告書(評価報告書・評価証明書という場合もあります。)を発行するように証券会社に請求し(取引残高報告書の取得について,証券会社によっては費用が掛かる場合があります。),当該書面を確認することで、被相続人がどこの会社の株式を何株保有していたのかが分かります。

 

また,証券会社からの書類ではなく、信託銀行からの書類がある場合は、信託銀行の「特別口座」に株式が保有されている場合があります。「特別口座」とは、株券電子化(2009年(平成21年)1月5日に実施)までに証券保管振替機構(ほふり)に預託されなかった上場会社の株券について、株主の権利を守るため、発行会社の申出により信託銀行などの金融機関(通常は株主名簿管理人)に開設された口座をいいます。

 

簡単にいうと,古い株券について,株券のペーパーレス化に伴って,信託銀行に株式を預かってもらっているということです。

 

このような場合には,当該信託銀行に連絡して,どのような手続を進めたら良いのか確認しましょう。

 

次に,証券会社にも信託銀行にも株式に関する書類が見つからない場合などには、「証券保管振替機構」(通称、ほふり)に「登録済加入者情報」の開示請求をすることができます(この場合,費用が掛かります)。

 

証券保管振替機構とは、投資家が購入した株式の名義書換えをまとめて行っている機関であり、開示請求することによって、株式を保有している口座のある金融機関(証券会社や信託銀行)を一括して調査することができます。

 

そして,証券保管振替機構から通知が届いたら、それをもとに、各証券会社等へ問い合わせれば、被相続人の保有銘柄や株数等を確認できます(ただし、非上場の株式や、外国株式等は対象外です。)。

 

 

 非上場株式の調査

非上場株式とは、証券取引所には公開されておらず、一般には流通していない株式のことをいいます。

 

非上場株式が問題になるのは、父親(母親)が会社を経営している場合や、親族や知人の会社に出資している場合などが考えられます。また,近年ではエンジェル投資家として,ベンチャー企業に投資しているという場合もあるかもしれません。

 

保有株数については、対象会社の株券や株主名簿、法人税申告書における「同族会社の判定に関する明細書」等により確認することができます。

 

また,株式を買い取った際の株式譲渡契約書や株式を引き受けるための申込書,投資契約書などの書面によって,被相続人が実際に持っていた株式を調査することができます。

 

相続を承認するのか放棄をするのかを決定する

相続財産を調査することによって,相続財産が明らかになると,プラスの財産(不動産や預貯金,株式など)よりマイナスの財産(借金等)のほうが多いことが判明することもあります。

 

特に,株式は価値の変動が大きく,相続を承認しようと思ったときには株式の価値が高く,得をすると思っても,その後株式の価値が下がることで,相続財産のうちマイナスがプラスを上回り,実質的に債務超過であるということもあります。

 

相続財産の中に,株式等の価値の変動の大きい金融商品が含まれている場合には,相続の承認をするのか否かについて,特に注意が必要です。

 

準確定申告を行う

準確定申告とは,納税者が死亡したときの確定申告のことをいいます。

 

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。

 

しかし、年の中途で死亡した人の場合は、相続人(包括受遺者を含む。)が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。

 

簡単にいうと,亡くなった人は自身で確定申告を行うことができないので,亡くなった人の代わりに,亡くなった年の確定申告を相続人が行うことを,準確定申告というのです。その際は,相続開始(通常は被相続人の死亡)を知った日の翌日から4か月以内に行わなければなりません。

 

被相続人が株式等を持っている場合、亡くなった年に配当金があった可能性がありますし、取引をして譲渡益が生じている可能性もあります。

 

株式以外も含めて被相続人が亡くなった年に所得がある場合は、準確定申告をしなければならない場合があります。

 

 

上篇では、相続財産に株式が含まれている場合の流れ、相続人・相続財産の調査などをご紹介いたしました。

続きまして、遺産分割・株式の名義変更・相続税について詳しく説明いたします。

>>相続財産に株式が含まれている場合,どのように相続手続きを進めていけばいいでしょうか?(下篇)

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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