被相続人名義の不動産が「遺産ではない」として争われた事案

相談内容

依頼者の父親は数年前に死亡されましたが、遺産分割が未了の状態で、不動産も父親名義のままの状態でした。

依頼者を含む相続人が、依頼者の父親の遺産について、遺産分割調停を進めておられる中で、相続人の1人が、当該不動産は名義こそ父親であるが、現実には自分が資金を出して購入したものであり自分の所有である=当該不動産は「遺産ではない」という主張をし、遺産分割調停は不調になりました。

当該不動産は自分のものであると主張する相続人は、別途、所有権移転移転登記手続き請求訴訟を提起したことから、依頼者は弊所に相談にお越しになりました。

 

弁護士の活動内容

依頼者は、父親名義の不動産は、名義どおり依頼者の父親の所有であり「遺産」であると考えていましたが、同様の考えの相続人が、調停段階から別の弁護士に依頼していましたので、同じ立場の相続人の代理人弁護士と協調しながら、父親名義の不動産は、父親の「遺産」であることを主張、立証していきました。

具体的には不動産購入時の契約書や当時の父親や相手方の収入状況を推測できる資料などを収集し、また時系列なども整理して主張、立証を行いました。

 

結果

一審では、概ね依頼者の主張が認められたものの、複数存在した父親名義の不動産の一部について、依頼者の兄弟(相手方)の所有である(遺産ではない)と判断されました。

そこで、控除審では、これまでの主張を再整理し、個別の証拠の評価についても再度主張した結果、最終的には、父親名義の不動産の全てが、名義通り父親の所有であり、父親を被相続人とする相続における「遺産」であることが確認されました。

 

弁護士の所感(コメント)

相続が開始し、遺産分割協議を行うにあたって、被相続人(亡くなった方)の名義であるにもかかわらず、購入費用は自分が負担した、便宜的に被相続人名義にしただけで、実質的には自分のものであり、遺産ではないという主張がされることがあります。

遺産分割協議を行うにあたっては遺産の範囲が確定している必要がありますので、遺産か否かが争いになり何らかの合意ができない場合には、遺産分割協議の前提問題として、民事訴訟でだれの財産であるのかを確定する必要があります。


 しかし、財産の取得時期は相続開始の40~50年以上前ということもあり得ますので、なかなか当時の資料が揃っていないこともあります。

本件では、幸いにも、被相続人である父親が売買をしたことを裏付ける売渡証書が保存されていたことや、父親が固定資産税を継続して支払っていたことを証明できたこと、事件の相手方(依頼者の兄弟)が、父親に対し、父親名義の土地の地代を支払っていたこと(実質的に相手方の所有というのであれば地代を払う必要はない。)などを古い確定申告書や通帳のなどから抽出して、主張立証することができ、最終的に依頼者の父親名義の不動産は、名義どおり父親の遺産であると判断されました。


 「遺産」か否かが争われる問題では、財産を取得した時期から相続開始までの間に数十年にわたる時間が経過していることも多く、長期間にわたる様々な資料を収集し、分析する必要があります。

数十年前に誰が購入資金を拠出しているのか、当時、被相続人や所有権を主張する相続人の収入状況・資産状況、その後、所有者なら当然にすべきことをしているのか(固定資産税、火災保険料の支払いなど)、所有者であればしないことをしていないか(地代、家賃の支払いなど)などを丁寧に主張し、裏付け資料を書庫として提出する必要があります。

このような事実の調査・分析、裏付け資料の収集、それに基づく法的主張の整理を行わなければ、裁判所に認めてもらえませんので、弁護士に依頼することがおすすめです。一度弊所にご相談ください。

 

 

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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