遺産分割協議を拒否されたまま長期間経過していた件について,弁護士に依頼することでスムーズに遺産分割を成立させた事案
相談内容
依頼者の母は20年以上前に死亡し,父も10年前に亡くなっていました。父は依頼者の母との死別後に再婚しており,父の相続について,法定相続人は後妻と依頼者であり,財産として自宅不動産と預貯金がありました。依頼者は,父が死亡して間もない時期に,後妻に対し,遺産分割協議をすることを提案しましたが,死後間もないことを理由に断られました。その数年後に,後妻が,父の死亡後も銀行に死亡の届出をせずに,父の預金を使用していることが明らかになったことから,依頼者は,再び後妻に遺産分割の協議をすることを申し出ようとしましたが,後妻の自宅を訪問しても居留守を使われ,電話にも出ないという対応をされ,まったく話し合いをする余地もなく,数年が経過しました。
預貯金だけでも数千万円が凍結された状態のままであり,依頼者は,父の死亡から10年も経過しているので,何とか後妻との間で協議を成立させて,速やかに解決をしたいとして,弊事務所に依頼されました
弁護士の活動内容
後妻としては,協議が成立しない間は,相続財産である自宅に無償で居住を継続する考えであることが明らかであり,他方で,自宅不動産の評価額が高額であり,法定相続分を基準に考えた場合に,後妻が代償金を支払って,自宅不動産を確保することも難しいと思われる状況でした。そのため,後妻が遺産分割成立に向けて積極的に対応する可能性は低いと判断し,依頼後,速やかに遺産分割調停を申し立てました。
結果
調停継続後,後妻側も弁護士に依頼し,順調に協議が進み,5回目の調停期日で,依頼者が自宅不動産を取得し,後妻に代償金を支払うことで調停が成立しました。
弁護士の所感(コメント)
本件のように遺産分割が成立しない間は,自宅不動産に無償で居住を継続できると考えているケースなど,当事者間では遺産分割協議にさえ応じないという相手方がいます。このような場合,弁護士に依頼して,弁護士名で協議の申し入れをすることで協議が動き出すこともあります。もっとも,協議が開始しても,のらりくらりと回答を引き延ばしたり,意図的ではなくてもどのように考えれば良いのか分からずなかなか回答をもらえないこともあります。
そのような場合には,調停等の法的手続において協議を進めた方が早く解決できる場合もあります。本件は従前の当事者間のやり取りから判断して,速やかに調停申立てすることで,より早期に解決できるものと判断し,その判断どおり申立から約6ヶ月後の第5回調停期日で,調停が成立しました。
弁護士に依頼すること,調停申立てをすることで,迅速な解決ができた事例です。
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