ほとんど交流のない多数の相続人間で, 話し合いにより遺産分割を成立させた事案
相談内容
依頼者は被相続人の妹で、被相続人の生前、被相続人の生活支援等を行っており,被相続人の自宅を引き継いで管理していきたいとのことでした。
そのため,相続人調査から遺産分割協議の交渉等相続手続きに困っているということで依頼がありました。
※ 色がついている方が関係者の方々です。
争点
被相続人は独身であったことから,相続人は兄弟姉妹でしたが,依頼者及び被相続人の兄弟姉妹は9名おられ、皆さん高齢であり,死亡している方も数名おり,またほとんど交流のない甥姪もいるということでした。
弁護士の提案内容
まず、多くの相続人がいたため、その相続人の全容を把握するために相続人調査を実施いたしました。
相続人の調査を進めたところ,親戚のお兄さんと思っていた人が実の兄であったり,複数回結婚されてそのたびに子が誕生していたり,あるいは婚外子がいたりという事情から,相続人が18人いることが判明しました。
そこで、事前に遺産分割条件を作成したうえで,各相続人にご連絡を差し上げ,遺産の内容や依頼者の貢献,遺産分割条件の内容を提示するに至った理由等を丁寧にご説明させていただき,ご了解をいただきました。
結果
戦争を挟んで,兄弟姉妹も関東(埼玉,東京,神奈川),関西(大阪,兵庫),九州(福岡,宮崎)と各地に点在し,また兄弟姉妹はご高齢であり,その子の代では,ほとんど交流もなく,また依頼者も高齢で早期の解決を希望されていたことから,調停を申し立てるのではなく,弁護士が相続人を個別に訪問して,順次,遺産分割協議書に署名押印をいただいて回り,遺産分割協議が成立しました。
弁護士の所感(コメント)
ほとんど交流のない多数の親族間で遺産分割協議を成立させるのには困難が伴い,不信感や反感を持たれると収拾が付かなくなります。
情報をオープンにして不信感を抱かれず,また懇切丁寧な説明でご理解をいただくとともに,個別にご訪問して顔を合わせてお話しすることで信頼を得ることができた結果,比較的短期間で各人が納得される解決ができました。
このような子どもがいない高齢者の場合,ほとんど交流がない複数の兄弟姉妹,甥姪との遺産分割協議を余儀なくされることになってしまいますが,遺言書を作成しておくことによって,このような煩雑な手続を必要とする事態を防止して,相続手続きを簡易かつ迅速に行うことが可能です。遺言の作成をお勧め致します。
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