【遺言書作成例3】こどもがいないケース

事例

遺言者Xには,子供がおらず,妻Aと2人でX名義の自宅で暮らしてきました。

先日,Xが死亡したことから,大きな自宅を1人で管理していくのも大変であり,また健康にも不安があることから,妻Aは自宅を売却して,有料老人ホームの入所資金を工面したいと考えています。

Xの両親は既に他界しているが,Xには弟が1人います。

 

遺言書を作成していない場合

Xの妻Aが,不動産業者に相談したところ,不動産の売却のためには,Xの弟Bの印鑑が必要との説明を受けたため,Bに相談したものの,「自分にも法定相続分として4分の1の権利がある。」と言って売却代金の4分の1を要求されて困ってしまいました。4分の1もBに支払うと,Aの元には今後の生活などに十分な資金が残りません。

また,そもそもBが「売却させない」と言って印鑑を押してくれない場合もあります。

 

遺言書例

「第1条 Xは,その全ての遺産を,妻Aに相続させる。」

 

ポイント

被相続人の兄弟姉妹には,遺留分は認められていません(民法1028条)。

したがって,本ケースのように配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合。配偶者に全ての遺産を相続させる遺言であっても,他の相続人の遺留分を侵害することはありません。

したがって,子どもがおらず,配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になるケースは,遺言書作成が最も効果を発揮する典型例です。

 

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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