【遺言書作成例2】遺留分減殺請求対策

事例

遺言者Xは,同居する長男A家族が,引き続き生活できるように,自宅不動産をはじめできる限り多くの財産を長男Aに相続させたいと考えていました。

ただし,当然のことながら,現預金等は,遺言者X自身の今後の生活費として出捐すること,死亡時点でどの程度の遺産総額になるのか流動的であったことから,現時点で遺留分を侵害しないように遺言書を作成しても,遺言者の死亡時には遺留分を侵害する状況になっている可能性もあり,これに対する配慮をしたいと考えていました。

 

ポイント

遺留分相当額として十分な金額を1000万円と算定して,他の兄弟B,Cには,各1000万円を相続させることにしました。また,預貯金等を換価した金員から相続させるために,専門家である弁護士を遺言執行者に指定し,円滑な遺産の換価等が可能なようにしています。

・生活費で費消した結果,死亡時点で預貯金額が2000万円を下回る場合を想定した内容も記載しています。

・現預金の変動によって,遺留分を侵害する結果になる場合に備えて,遺留分減殺の順序を指定しています。

 

 遺言書文例

            遺 言 書

 

第1条 Xは、Xの所有にかかる下記不動産を遺言者の長男A(昭和24年4月4日生)に相続させる。

  [不動産の表示]

  (1) 所  在  福岡市◯

    地  番  ◯番

    地  目  宅地

    地  積  ◯◯平方メートル

  (2) 所  在  福岡市◯

    家屋番号  ◯番地

    種  類  居宅

    構  造  木造セメント瓦葺2階建

    床 面 積  1階 ◯◯平方メートル

          2階 ◯◯平方メートル

第2条 Xは、Xの所有にかかる下記の預貯金等を含むその他一切の金融財産を適宜換金の上、その内から遺言執行者に支払う遺言執行報酬を含む執行費用を控除した残金(以下,「換価配分額」という)の中から,次男B(昭和25年5月5日生)及び長女C(昭和26年6月6日生)に,それぞれ金1000万円を,換価配分額から金2000万円を控除した残金を前記Aに相続させる。

   なお,換価配分額が金2000万円に満たない場合には,換価配分額を前記B及び前記Cの2名に,それぞれ2分の1の割合で相続させる。

   なお,前記B及び前記Cから遺留分減殺請求がなされたときは,同人の遺留分をまず換価配分額から減殺するものとする。

  (金融機関の表示)

  (1) ゆうちょ銀行 定額貯金 口座番号◯◯◯◯

  (2) 以下省略

第3条 Xは、第1条及び第2条に記載の財産を除く一切の財産を包括して、前記Aに相続させる。

第4条 Xは、祖先の祭祀を主宰する者として,前記Aを指定し,同人に祭祀用財産に関する権利を承継させる。

  2 Xの葬儀費用は,前記Aが支出するものとする。

第5条 Xは、本遺言の遺言執行者として次の者を指定する。

     省略

  2 以下省略

 

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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