【遺言書作成例1】特別受益に配慮
事例
遺言者Xは,長男Bに対し,事業の資金などのために,これまで1000万円の援助をしました。
遺言をするにあたり,共同相続人間の公平のため,この点を考慮した遺言にしたいと同時に,同居する長女Aのために自宅不動産を残してあげたいが,遺留分侵害額請求などをされないか心配という状況でした。
遺言を作成しなかった場合
Aが,XからBへの資金援助について,長男Bの特別受益が主張され,AとBの相続紛争が勃発する可能性があります。
特別受益とは,相続人が,被相続人から生前贈与等を受けるなど特別の利益を受けることをいい,「生前の財産分け」のようなものであるので,この場合,相続財産にその者の特別受益分を加えたものを相続財産とみなして持ち戻し計算されます(民法903条)
また,自宅不動産が遺産に占める割合が大きい場合に,Aが不動産を相続するためには,多額の代償金を払わなければならず,自宅不動産の相続を断念したり,代償金のための借入をする必要が生じる事態も招きかねません。
遺言書文例
遺 言 書
第1条 遺言者Xは,その所有する別紙遺産目録1記載の不動産を,遺言者の長女A(昭和44年4月4日生)に相続させる。
第2条 遺言者Xは,別紙遺産目録2記載の金融機関に預託中の預貯金を,遺言者の長男B(昭和45年5月5日生)に相続させる。
第3条 遺言者は,第1条,第2条に記載の財産を除く一切の財産を包括して,前記Aに相続させる。
第4条 遺言者は,本遺言の遺言執行者として次のものを指定する。
事務所 福岡市中央区天神3丁目3番5号 天神大産ビル6階
岡本綜合法律事務所
弁護士 岡 本 成 史
第5条 付言事項
私は,長男Bに対し,本日までに,次のとおり合計1000万円の金員を贈与してきましたので,これを長男Aの特別受益として考慮し,私の死亡により,Bに対し,第2条記載の財産以外に,相続させる財産はありません。
ポイント
・生前贈与は,贈与者(遺言者)と受贈者(相続人)間で行われるため,遺言者の死亡後に,他の相続人が贈与の事実を証明するのが難しい場合があります。そこで,長男Bに対する生前の贈与の事実とこれが特別受益に当たることを明記しています。
・不動産を長女Aが取得できるように,遺言書の中で遺産分割方法の指定をしています。
・また,不動産の評価次第で,長男Bの遺留分を侵害する可能性もあったため,第2条で長男Bの遺留分に対する配慮もしています。
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