代襲相続することになりました。相続放棄をすることで、借金を免れることはできますか?
目次
Q 先日、祖父が亡くなりました。父は、10年以上前に死亡しているため、代襲相続が発生し、祖父の
相続人は、孫である私(Aさん)と、祖父の子(長女)である叔母です。
祖父は、浪費癖があり、色々なところで借金をしていたようです。
私は、借金を引き継ぎたくありません。相続放棄をすると祖父の借金を免れることができるのでしょ
うか?
A 10年前に父が死亡した際、父の財産を相続していても、今回、代襲相続をした場合、祖父の相続を
放棄することができます。相続放棄をすることで、祖父の借金を引き継ぐことはなくなります。
代襲相続とは?
本来、相続人となる方が、先に死亡したりなどの一定の理由により、相続権を失うことがあります。このように、相続権を失った方の代わりに、相続分を引き継ぐことを「代襲相続」といいます。
本件のQ&Aでは、本来祖父の相続人となる、Aさんの父が先に死亡しているので、父の代わりに、Aさんが祖父の相続人となります。
死亡以外に代襲相続が発生する場合とは
相続人となる方が、先に死亡した場合のほか、相続欠格に該当した場合・相続人が廃除された場合にも、代襲相続は発生します。
詳しくは、以下のリンク先の記事をご覧ください。
詳しくはこちら>>
相続放棄により相続権を失った場合は、代襲相続は発生しない!
相続放棄により相続権を失った場合は、代襲相続は起こりません。
例えば、祖父の相続が発生した場合に、Aさんの父が、祖父の相続について相続放棄をした場合には、孫のAさんは代襲相続人とはなりません。
孫も先に死亡した場合は?
例えば、Aさんも祖父より先に死亡し、Aさんにも子ども(祖父から見たひ孫)がいた場合は、ひ孫が代わりに相続人となります。このことを「再代襲相続」といいます。
なお、これらの代襲相続をするためには、裁判所や役所への届け出などの手続きは必要ありません。
相続放棄
「相続放棄」とは、『被相続人(亡くなった方)から財産を相続する権利を放棄する制度』のことをいいます。
相続放棄をすると、土地や預貯金等の資産(プラスの財産)や、借金等の負債(マイナスの財産)を、一切引き継がないことになります。
相続放棄には、「最初から相続人とならなかった」とする効果があり(民法第939条)、借金等の支払義務を免れることができます。しかし同時に、プラスの財産も相続できなくなります。
このように、相続放棄には、借金を引き継がなくて済む・相続に関する揉め事に巻き込まれずに済む というメリットがあります。
ただし、プラスの財産も引き継ぐことができない・裁判所へ相続放棄の手続きを行う手間がかかる(資料収集など)のデメリットもあります。
相続放棄をすることで、かえって不利益を受けてしまう場合もありますので、まずは相続財産を十分に調査して、検討する必要があります。
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⚠相続放棄には時間制限があります⚠
相続放棄は、いつでもできるわけではありません。
相続放棄には、「最初から相続人とならなかった」とする強力な効果があります。そこで、他の相続人や、利害関係人との調整の観点から、【自己のために相続開始があったことを知ったときから3ヶ月以内】に行う必要があります。
この期間内に、相続放棄の手続きをしない場合、相続の「単純承認」をしたものとみなされ、被相続人の遺産を、プラス・マイナス含めて全て相続するという扱いになります。
ただし、「期間伸長の申立て」を行うと、相続放棄の期間を、1ヶ月から3ヶ月程度伸長することができます。
また、相続が開始して、相当期間が経過した後に、債権者から請求が来たことで、借金があったことを知った場合も、相続放棄が認められることもあります。
期間が過ぎてしまったからと諦める前に、まずは相続に精通した弁護士にご相談ください。
「代襲相続」と「相続放棄」の繋がり
代襲相続が発生した場合にも、相続放棄をすることができます。
代襲相続人が相続放棄をした場合も、通常の相続の場合と同様に、プラスの財産も、マイナスの財産も、一切相続しないことになります。
親の相続放棄をしていても、代襲相続することは可能
親の相続が発生した際に、相続放棄をしていたとしても、代襲相続することはできます。
例えば、本件のQ&Aの場合、Aさんは、10年前に父が死亡した際、借金があることを知って、父の相続を放棄していたとします。そして今回、祖父が死亡し、祖父の財産は、借金もなく、プラスの財産ばかりであったことが判明しました。この場合、Aさんは、父の相続を放棄していても、祖父の財産を相続することができます。
親も、祖父母にも、借金がある場合は?
親にも祖父母にも借金がある場合、相続放棄は何回行う必要があるのでしょうか。
例えば、本件のQ&Aの場合、まずは、父の借金を引き継がないようにするために、父の相続に関して、相続放棄の手続きをする必要があります。
その後、祖父が死亡した際には、祖父の相続についても相続放棄をしなければ、なりません。
父の相続と、祖父の相続は別物と考えて、それぞれの相続について、相続放棄の手続きをする必要があります。
まとめ
今回の内容は、以下のとおりです。
① 「代襲相続」とは、相続人となる方が、先に死亡したりなどの一定の理由により、相続権を失っ
た場合、代わりに相続分を引き継ぐことをいいます。
② 「相続放棄」とは、『被相続人(亡くなった方)から財産を相続する権利を放棄する制度』で
す。
③ 相続放棄には、メリットもデメリットもあるため、まずは相続財産を十分に調査しましょう。
しかし、相続放棄には期間制限があるので、迅速に対応する必要があります。
④ 代襲相続が発生した場合にも、相続放棄をすることができます。
⑤ 親の相続と、祖父母の相続は別物と考えて、それぞれの相続について、相続放棄の手続きをする
必要があります。
代襲相続が発生すると、相続人が誰になるか、確定させるのが複雑になります。また、プラスの財産が多いのか、マイナスの財産が多いのか、財産調査を行いながら、さらに、相続を放棄するかどうかの判断を、限られた期間内に行うことはとても大変です。
迅速・適切に行動し、トラブルを防止するために、相続手続に精通し、豊富な経験を有する弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
当事務所は、弁護士歴26年以上の弁護士が在籍しており、多くの専門性を要する相続に関するご相談を受けてきました。机上の法律知識だけでは得られない、多数の相談や解決実績に裏付けられた実践的なノウハウを蓄積しております。
こういった経験からも、代襲相続が生じた場合のイレギュラーな相続問題や、相続放棄の手続きに関して、実績が豊富です。相続全般について、皆様に最適なサポートを提供いたしますので、お悩みの方は是非一度、当事務所にご相談ください。
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