遺産分割調停は弁護士に依頼しなくてもできますか?~自分で対応する場合の注意点~
目次
Q 先日、父が亡くなりました。相続人は、母と、私を含めた兄弟3人の合計4人です。
現在、相続人全員で遺産分割の話し合いをしているのですが、長男が、自分の取り分を多くして、強
引に遺産分割協議書を作成しようとしています。
そこで私は、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てようと考えています。
私は、単純に法定相続分で分割することを望んでいるので、複雑な主張をするつもりはありません
し、今の時代、インターネットで色々と調べることもできるので、弁護士には依頼しない方向で考えて
います。何か問題はありますか?
A 遺産分割調停は、申立てから調停成立まで、弁護士に依頼することなく、ご本人で手続きを進めるこ
とが可能です。
しかし、費用を支払ってでも弁護士に依頼する方が、メリットも多く、ご自身で対応するよりも良い
結果になることが多いです。
以下で詳しく説明します。
弁護士に依頼せずに遺産分割調停を行うメリット
メリットは、【弁護士費用を支払わなくて良い点】です。
しかし、それ以外のメリットはありません。
最近は、インターネットでも、遺産分割調停の情報を手軽に取得することができます。しかし、中には情報の正確性に問題がある情報もありますので注意が必要です。
また、被相続人(亡くなった方)の財産の状況・相続人の数・それぞれの考え方・関係性など、事案によって千差万別であることから、全てのケースでインターネットの情報が有効に使えるとは限りません。
さらに、遺産分割調停事件において、代理人弁護士が対応した割合は、2021年に80.9%となっており、たとえご自身で遺産分割調停を申し立てても、相手方に代理人弁護士が就く可能性が高いです。
もしも、相手方に代理人弁護士が就いた場合は、その弁護士に対して、感情的になることなく、ご自身で説得的な主張や反論を展開することは難しく、不利になる可能性が十分にありますので、注意が必要です。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼するメリットは、以下の5つです。
① 手続きや交渉等の負担を軽減できる
弁護士にご依頼いただくと、遺産分割調停を申立てる手続きから、書面の提出、交渉まで全て任せることができるため、手続き等に関する負担が軽減できます。
また、相手方とのやり取りも弁護士が行いますので、自宅に直接書面が届いたり、相手方からの連絡が来ることもなく、心理的な負担も軽減できます。
② 適切なアドバイスを受けることができる
遺産分割調停は、あくまで当事者同士の話し合いですので、ご自身の主張が全て認められるとは限りません。
そこで、「どのような提案をするのか」「どの点を譲歩すれば調停がまとまるのか」など、弁護士にアドバイスを受けながら遺産分割調停を進めることで、自分一人で進めるよりも、より有利な結果になる可能性があります。
③ 説得的な書面を作成してもらったり、調停の場で冷静な発言をしてもらえる
遺産分割調停は、話し合いではありますが、第三者である調停委員や、相手方を説得する必要もあります。
そこで、弁護士に依頼すると、きちんと根拠を示したうえで、説得的な内容の書面を作成してもらうことができます。
また、無茶な要求や過度な譲歩は良い結果を招きませんが、自分一人で遺産分割調停を進めると、どうしても気が付かないものです。
弁護士に依頼することで、調停の場で冷静な発言をしてもらえるため、感情的になって調停が不成立になってしまう可能性を減らすことができます。
④ 弁護士による代理出席が可能
遺産分割調停は、当事者による話し合いのため、ご本人でご対応いただく必要があります。しかし、病気や仕事等の急な事情によって、遺産分割調停に出席できないこともあるかもしれません。
弁護士に依頼している場合は、弁護士が代わりに遺産分割調停に出席します。また、どうしても会いたくない相手方がいる場合や、遠方の家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てがされていて行けない場合も弁護士が代理で出席し、窓口になって対応しますので安心です。
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⑤ 審判に進んだ場合も、安心して任せることができる
遺産分割調停で、当事者双方が合意できなかった場合は、『遺産分割審判』の手続きに移行します。
『遺産分割審判』は、遺産分割調停とは異なり、書面に基づいて主張反論を行い、審判官が法律に基づいて判断します。いわば、訴訟に近い手続きです。『遺産分割審判』の際に提出する書面は、遺産分割調停以上に法的な主張・立証をする必要があります。
そのため、弁護士に手続きを任せることで、より効果的な主張・立証をすることができます。
遺産分割調停について詳しくはこちら
発生する弁護士費用
弁護士に依頼した場合に発生する費用は、【着手金】【報酬金】【実費・日当】の3つです。
着手金
弁護士に依頼する初期費用のようなものです。
着手金は、弁護士事務所毎に異なります。事件の難易度や、遺産分割で対象となっている遺産の額に応じて変動する場合もあります。
報酬金
遺産分割調停が成立した際に支払う成功報酬です。
報酬金は、依頼者が取得した経済的利益、つまり、依頼者が取得した相続財産の金額をもとに計算されることが多いです。
実費・日当
実費とは、書面を提出するための郵便料や、調停に出席するための交通費などです。
日当とは、遠方への出張が必要な場合に発生する費用です。
弁護士費用は、弁護士事務所それぞれで基準を定めていますので、依頼される前に弁護士に確認をしましょう。
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~岡本綜合法律事務所の弁護士費用~
まとめ
遺産分割調停は、申立てから調停成立まで弁護士に依頼することなく、ご本人で手続きを進めることができます。
しかし、費用を支払ってでも弁護士に依頼する方が、メリットも多く、ご自身で対応するよりも良い結果になることが多いです。
また、相手方に代理人弁護士が付いている状況で、その弁護士に対して反論することは難しく、さらに、感情的になることなく相手方や調停委員を説得することも簡単ではありません。
そのため、遺産分割調停の手続きに少しでも不安がある場合には、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
当事務所は、弁護士歴27年以上の弁護士が在籍しており、多くの相続に関するご相談を受けてきました。机上の法律知識だけでは得られない、多数の相談や解決実績に裏付けられた実践的なノウハウを蓄積しております。
こういった経験から、遺産分割調停の問題だけでなく、相続全般について、皆様に最適なサポートを提供いたします。お悩みの方は是非一度、当事務所にご相談ください。
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