相続財産に自社の非公開株式がある場合に、実質的利益を基準に協議をして、比較的早期にかつ有利な解決ができた事案

相談内容

依頼者の父は、会社の元代表者兼大株主であり、その財産は預貯金の他に、自社の株式等が存在しておりました。相続開始時、依頼者は当該会社の代表者でした。

 

また、本件の特殊な事情として、相続人の中には、父が養子縁組したもののほとんど交流のない妹がいました。

 

父が保有する会社の株式は、非公開株式(証券取引所などに上場をしていない株式)であり、客観的な評価が存在しませんでした。会社の財産は不動産のみであり、収入もその不動産の賃料収入のみでしたが、老朽化が激しく、不動産の維持費として多額の負担が生じていたため、収支はマイナスの状態でした。

 

相続人間では、当該非公開株式の評価について争いが生じており、解決が困難であることに加えて、会社には動かせる現金がほぼなく、時間が経つごとに赤字が増幅していく状況でした。

 

そのような事情から依頼者は、早期に会社の不動産の売却をすることと、会社の清算をすることを希望しておられました。

※ 色がついている方が関係者の方々です。

弁護士の活動内容

不動産の売却について

本件の非公開株式の評価の前提として、会社が保有する不動産の評価が大きな問題となりました。また、会社の赤字を増幅させないためにも、早期に会社所有の不動産を適正な金額で売却する必要がありました。

 

相手方である兄妹は、当初、依頼者が父の会社の代表者の地位を引き継いだことも認めないといった態度であり、不動産の売却そのものや、売却金額について異議を唱えることが予想されました。また、不動産の売却がいわゆる事業譲渡にあたることがないように、法的見地からもリスクを診断しました。

 

そのうえで、依頼者とも連携し、複数の不動産業者の相見積もりを取得したことに加えて、不動産鑑定士の鑑定評価を取得して、相手方からの「売却額が低廉に過ぎる」というクレームと責任追及を封じるために万全の準備をしました。

 

不動産売却に関しては、隣地の所有者との境界の問題もあったため、土地家屋調査士とも連携しました。

このように次々と直面する数々の問題について、一つ一つ対応しながら、会社名義の不動産を売却する手続を進めていたところ、相手方は、協議の進行中に,早期に現金がほしいので、相続財産である非公開株式(正確には「株式についての法定相続分相当の共有持分」)を依頼者に買い取って欲しいと要請してきました。この提案に対して、まずは当該会社から依頼者に対して貸付を行って資金を確保する準備を整えました。また、相続財産である非公開株式の評価を算定することは無意味であると判断し、むしろ不動産売却から会社清算という一連の手続の中で生じる、各種の税金の負担を考慮し、不利にならないように厳密にシミュレーションを実施しました。すなわち、法人が不動産を売却することで法人税等の税金が課税されるため、実質的に法人に残る現金がどの程度になるのかということや、法人を解散・清算する手続に要する諸経費の積算、依頼者が株主として会社の残余財産の分配を受けることにより生じる税金、所得が増えることで増額する健康保険料などの負担なども考慮して、依頼者の最終手取額が買い取り金額を下回らないよう慎重に検討した上で、買取額を提案しました。

 

その他の動産について

被相続人には相続財産として、上場株式や配当金、動産もありました。

 

動産については思い出の品があり、感情的にもつれることも考えられたため、弁護士立ち会いのもと、慎重に形見分けを行いました。また、骨董品として価値があるものについては、古物商に査定を依頼して、遺産分割調停において分割方法を協議しました。

 

本件では、依頼者が被相続人の上場株式、配当金を取得することになったため、その事務手続きについても弊事務所の弁護士がサポートをしました。調停成立後も他の相続人と資料のやり取りをする必要があるので、弁護士が相手方との連絡や、金融機関との折衝を行いました。

 

金融機関によっては杓子定規な対応をする担当者もおりましたが、成立した調停の制度趣旨などからきちんと説明することで、柔軟な対応をしてもらうこともありました。

 

結果

相手方と協議をした結果、非公開株式については、机上査定の評価額について協議することを回避して、株式についての法定相続分相当の共有持分を買い取るということで解決しました。

 

株式を買い取るための資金についても、会社が所有する不動産を(2物件あった内の1物件を先行して)売却することができ、その資金を依頼者に貸付けることで買取資金の準備もでき、一番の争点である非公開株式の問題を解決することができました。

 

また、買取価格の提案にあたっては、ある意味では協議前に先行して買取代金を支払うことになってしまう依頼者が、損をしないように、不動産売却から会社の清算まで実施し、依頼者が現実に受け取れる金額を、税理士等と連携しながら、厳格に算定しました。なお、持分買取については、調停成立前かつ不動産売却前に先行して実施していましたが、不動産の売却価格が決定していなかったため、厳しく見積もって金額を算定しておりました。しかしその後、不動産を想定以上に高額で売却できたので、結果的に依頼者が受け取れる金額が高額になるという有利な解決にもなりました。

 

弁護士の所感(コメント)

被相続人が非公開株式を所有している場合、遺産分割が成立する前は、疎遠な相続人も非公開株式の共有者となります。

 

非公開株式についてはその評価が難しいことに加えて、簡易な税務上の評価で合意できない場合には、実質的な価値を算定せざるを得ないこととなります。そうすると公認会計士の報酬も高額になり、その算定にも時間を要することもあります。また、共有者である相続人が、株主として議決権を共有していることや,役員の責任追及等をし得る立場にあることに留意して、慎重に手続きを進めることが必要になります。

 

本件は、相続人の中に、交流のない妹がいるということで、特に慎重に進めるべき事案でした。

 

こうした事案では、客観的な資料を揃えて、防御をしっかりすることが重要になります。相手方からの、役員としての責任追及に備えるとともに、数字に基づいた建設的な議論をするために、明確なエビデンスを揃えたことは非常に効果的でした。依頼者に不利にならないように、厳格な算定による株式の買取金額を提示しましたが、相手方は現金を早く受け取りたいという希望をしていたこともあって、納得して提案に応じたこと、また、会社所有の不動産を適正価格で見積もった上で、より高額で売却できたことで、依頼者にとって有利な解決ができました。

 

遺産の中に自社の非公開株式がある場合には、不動産及び税金についての知識を有するとともに、不動産・税金に関係する専門家ネットワークを活用することで、より説得的な交渉ができる場合があります。本件はそのような進め方により、円滑に解決ができた事例でした。 

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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