遺言が無効になる場合とはどのような場合でしょうか?
目次
Q.遺言書を作成しようと思うのですが、遺言は法律で決められた要件を満たさないと無効になると聞いたのですが、どのような場合に無効になるのでしょうか?無効とされる遺言書の例を教えてください。
A.民法で定める遺言書としての方式に従わない遺言書は無効になります(民法960条)。
「自筆証書遺言」は,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,これに押印するという方法により作成します(民法968条)ので,この要件を満たさない遺言は無効になります。例えば、次のような遺言は無効になります。
無効になる遺言の例
①パソコン・ワープロで作成した遺言書
②レコーダーなどで録音した遺言書
③押印がない遺言
④日付の記載がない遺言
➄日時が特定できない遺言(平成30年12月「吉日」など)
⑥他人(遺言者以外)に書いてもらった遺言
⑦署名がない遺言
➇他人にが署名してもらった遺言
⑨相続する財産の内容が不明確な遺言書
⑩2人以上が共同で書いた遺言
また遺言も意思表示であるため,契約などの一般の法律行為の無効に関する規定や裁判例が適用されます。したがって,認知症などの進行により,正常な判断ができない状態で書かれた遺言書は,無効になります。
公正証書遺言を作成するメリット
一方,「公正証書遺言」は,証人が2人以上立ち会った上で,遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し,公証人がこの口授を筆記し,これを遺言者及び証人に読み聞かせ,又は閲覧させ,遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認後,各自これに署名押印し,公証人がその証書は民法に定める方式に従って作ったものである旨を付記して,これに署名押印するという方法により作成します(民法969条)。
このように公証人などが関与して作成される遺言であるため,方式違反で無効とされることはほぼないといえますし、公証人が遺言者の遺言能力を確認して作成しますので、正常な判断ができない状態で作成されたとして無効になることもほとんどないといえます。
このように公正証書遺言を作成するメリットが非常に大きいため、多少費用はかかっても公正証書で遺言を作成することをお勧めします。
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