無理やり書かされた自筆証書遺言は有効ですか?

Q.父が死亡し,父が書いたとされる自筆証書遺言が見つかりました。しかし,父がこのような内容の遺言を書くはずがないと思います。きっと兄が無理矢理書かしたものだと思うのですが,このように無理矢理カカされた自筆証書遺言というのは有効なのでしょうか?また,当時,父は手も震えており,自分で遺言書を書くなどできなかったと思うのですが,他人の添え手を受けて作成した自筆証書遺言というのは効力があるのでしょうか?

A.「自筆証書遺言」は,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,これに押印するという方法により作成します(民法968条)。この「自書」の要件が求められるのは,「筆跡によって本人が書いたものであることを判定でき,それ自体で遺言が遺言者の真意に出たものであることを保障することができる」からであるとされています(最判昭和62年10月8日)。

無理矢理書かされた自筆証書遺言は有効なのか,ということですが,脅迫などにより遺言者が自発的に書いたとは認められない遺言は,効力が否定されます(民法95条,96条)。

また,他人の添え手を受けて作成した自筆証書遺言については,次のような最高裁判例があります(前掲最判昭和62年10月8日)。

「『自書』は遺言者が自筆で書くことを意味することから,遺言者が文字を知り,かつ,これを筆記する能力を有することを前提とするものであり,右にいう自書能力とはこの意味における能力をいうものと解するのが相当である。(中略)そうとすれば,本来読み書きのできた者が,病気,事故その他の原因により視力を失い又は手が震えるなどのために,筆記について他人の補助を要することになったとしても,特段の事情のない限り,右の意味における自書能力は失われないものと解するのが相当である。」,「添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが,筆跡のうえで判定できる場合には,『自書』の要件を充たすものとして,有効であると解するのが相当である。」。

なお,下級審の裁判例としては,他人の添え手による補助を受けた自筆証書遺言を有効とした事例として東京高判平成5年9月14日があり,無効とした事例として東京地判平成18年12月26日があります。

遺言者本人の意思に基づき作成された遺言であれば,添え手による補助を受けて作成されても有効ですが,そこに添え手をしたものの意思が介入して,遺言者本人の意思とは異なる内容の遺言が作成されれば,無効ということになりますが,後から,第三者の意思が介入したか否か判断するのは難しいところです。

その点では,遺言作成にあたっては,できる限り御自身の力で作成するのが無難であると思われます。

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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