父は再婚し、後妻がいます。父が亡くなった場合、後妻にも相続する権利はありますか?

Q 私(Aさん)の両親は、以前は夫婦仲良く暮らしていましたが、母が先に亡くなってしまいました。

  その後、父は別の女性と再婚しました。


  もしも父が死亡した場合、後妻にも父の財産を相続させないといけないのでしょうか?


  私(Aさん)は、元々父の再婚にも反対しており、後妻には相続させたくありません。そのため、父 

 の生前にできる対策があれば教えてください。

A 被相続人(亡くなった方)の配偶者は、常に相続人となります(民法890条1項)。

  Aさんの父は、別の女性と再婚していますので、もしも亡くなった場合には、Aさんと後妻が相続人

 になり、それぞれ2分の1の割合で、父の遺産を相続することになります。

 

  父が生前に、「Aさんには、後妻よりも多くの財産を相続させる」内容の遺言書を作成した場合は、

 Aさんは多くの財産を相続することが可能になります。


  以下では、相続の進め方の注意点と、遺言書の作成について詳しく解説します。

 

先妻の子と後妻が相続人となる場合の注意点

 

相続財産調査の必要性

 離婚した父が再婚した場合、先妻の子は、生前の父の財産を詳しく把握できていないことが多くあります。そのような状態で、後妻が、先妻の子に対して、「相続放棄」を求めたり、被相続人(亡くなった方)の財産の一部を隠匿したうえで遺産分割の提案をしてくることがあります。

 

 そのため、まずは、被相続人(亡くなった方)の相続財産の調査を行い、財産の全てをしっかり把握したうえで、遺産分割協議(遺産分割の話し合い)に臨む必要があります。

 

【相続財産調査の方法】

 

 ① 不動産

  不動産の場所が判明している場合には、法務局において、「全部事項証明書(登記簿謄本)」を取得

 することで、不動産の名義を確認することができます。

 

  なお、被相続人(亡くなった方)が何らかの不動産を持っていることは知っているが、場所が不明な 

 場合には、市区町村の資産税課などの所管部課において、「名寄帳」を取り寄せることにより、確認す

 ることができます。

 

 ② 預貯金・有価証券・投資信託

  金融機関、支店、口座番号が判明している場合、各金融機関に対して、被相続人(亡くなった方)の

 残高証明書や取引履歴を取り寄せることで、確認することができます。

 

  なお、情報が何も分からない場合には、各金融機関で指示される戸籍等の資料を提出することで、開

 示してもらうことができます。

 

 ③ 借金などのマイナスの財産

  相続は、不動産や預金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産も対象になりますの

 で、被相続人(亡くなった方)に借金などがないかを確認する必要があります。

 

  契約書や借入先からの郵便物、通帳の取引履歴などから、借入先を確認することができます。また、

 JICC(日本信用情報機構)、CIC(指定信用情報機関)、全国銀行個人信用情報センター信用情

 報機関に対して、情報開示請求を行い、確認漏れがないかを問い合わせます。

 

  借入先を特定後は、死亡時の借入残高を確認し、借入先の金融業者に問い合わせて、借入金残高証明

 書を発行してもらいましょう。

 

 ~幣事務所の相続調査~ 

 ★相続人・相続財産・遺言調査

 ★被相続人の財産がまったく分かりません。財産調査をお願いすることは可能でしょうか?

 

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遺産分割協議を行いましょう!

 

 被相続人(亡くなった方)が遺言書を作成していない場合は、遺産分割の話し合いを行い、被相続人(亡くなった方)の遺産をどのように分けるのか(分割するのか)を決める必要があります。

 

 遺産分割協議は、相続人全員が参加する必要があります。しかし、★本件のQ&Aのように、先妻の子と後妻が相続人の場合、感情的な対立から、スムーズに遺産分割協議が進まないこともあります。

 

 相続人同士で遺産分割協議ができない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることになります。「遺産分割調停」においても成立しない場合は、「遺産分割審判」に移行し、裁判官が決定した内容に基づいて、相続手続きを行うことになります。

 

 なお、「遺産分割調停」に進んでしまった場合は、解決までに1年近くの時間を費やすことになりますので、注意が必要です。

 

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遺言書作成

 

遺言書の必要性

 

 相続分の変更が可能になります! 

  被相続人(亡くなった方)が遺言書を作成していない場合は、法定相続分どおりの割合で、遺産を相 

 続することになります。

 

  しかし、被相続人が遺言書を作成している場合には、取得する財産の割合を、法定相続分とは異なる

 内容に変更することができます。

 

  そのため、特定の相続人に財産を渡したくない と考えている場合は、生前に、被相続人となる方

 (相続される方)に遺言書を作成してもらう方法で対応しましょう。

 

 遺産分割協議が不要になります 

  被相続人(亡くなった方)が、遺言書を作成し、すべての財産について分割方法を決めている場合

 は、残された相続人同士での遺産分割協議が不要になります。

 

  遺産分割協議の場では、相続人の感情的な対立により、揉め事に発展する可能性もあります。

 

  そうならないためにも、被相続人となる方(相続される方)が、生前に遺言書を作成しておくこと

 で、揉め事を回避することも対策のひとつです。

 

 ~関連記事~ 

 ★遺言書によって、妻に「全財産」を相続させることはできますか?

 

 ~遺言書作成についてのまとめ記事~ 

 ★遺言書作成について

 

 

 【ちなみに・・・】

  遺言書を作成する際は、遺留分対策が必要です!!

 

   本件のQ&Aにも該当しますが、配偶者には「遺留分」が認められていますの 

  で、注意が必要です。

 

 「遺留分」とは、被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹以外の相続人に、最低限保障されている遺産取得分のことをいいます。

 

 本件のQ&Aの場合、後妻は、法定相続分の2分の1、すなわち、遺産全体の4分の1については、「遺留分」として取得する権利があります。

 

 そのため、被相続人(亡くなった方)が作成した遺言書において、後妻に相続させる遺産が、全体の4分の1以下になってしまった場合には、「遺留分侵害額請求」として、足りない分の請求を受ける可能性がありますのでご注意ください。

 

 ~遺留分侵害額請求についてのまとめ記事~ 

 ★ 遺留分侵害額請求についての記事

 

まとめ

 

 被相続人(亡くなった方)の配偶者は、常に相続人となります。そのため、後妻に相続させたくない場合でも、配偶者であれば相続人となります。

 

 なお、生前に遺言書を作成してもらうことで、他の相続人よりも多くの財産を相続することが可能になります。遺言書が作成されている場合には、遺産分割協議が不要になり、相続人同士で揉め事になる可能性を回避することができますので、遺言書を作成することをおすすめしています。

 

 しかし、一定の相続人には「遺留分」が保証されていますので、遺言書を作成される前に、まずは専門家にご相談されたほうがよいでしょう。

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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