専門家に遺言書の作成を頼んだ方が良いのはなぜですか?

Q.遺言書は,専門家に作成の依頼をした方が良いと聞いたのですが,何故でしょうか?自筆証書の遺言であれば,費用もかからず,自分で簡単に作成できるのではないのでしょうか?

A.確かに,自筆証書遺言は,誰でも気楽に,簡単に作成でき,また自分だけで作成すれば費用もほとんどかからずに作成できます。しかし,遺言書には法律上厳格な要件が定められており,この要件を欠くと無効になります。また,形式的な要件を備えていたとしても,遺言の効力が発生するのは,遺言書を作成した方(遺言者)が死亡した後であり,既に作成した方が亡くなっていますので,内容が明確でないと,遺言書の内容の解釈を巡って争いが生じるケースもあります。

 

つまり,遺言書の文言は,誰が読んでも一義的で,色々な意味に解釈できないようにする必要があります。

例えば,相続人が長男,次男の二人であるという事例において,「私の財産のことは,生前,本当に親身にお世話をしてくれた二男に全て任せます。過去,私に多くの金銭トラブルで迷惑を掛けた長男には,絶対に関わってほしくありません。」という遺言があったとしましょう。

 

皆さんは,この遺言を読まれて,亡くなった被相続人が,自分の生前築いた財産をどのようにしたいと考えていたと思われますか。

 

ある人は,自分の生前築いた財産を二男に全て相続させたいと考えていた,と思うかも知れません(二男としては,こういう意味だと解釈するでしょう。)。

また,別の人は,亡くなった被相続人は当面の財産管理や支払関係を二男に任せたいと思っていただけで,長男に自分の生前築いた財産を全く相続させないとまでは考えていなかった,と思うかも知れません(長男としては,こういう意味だと解釈するでしょう。)。

さらに,この遺言書で,二男を遺言執行者に指定した(民法1006条1項)と考える人もいるかも知れません。

このように文言の真意が分からない場合,通常の法律問題であれば,文言を作成した人に聞き,説明してもらえればよいのですが,相続が開始するのは被相続人が亡くなった後であり,遺言書の解釈が問題になるのも被相続人が亡くなった後です。とすると,既に「死人に口なし」ということになり,文言の真意を語ってくれる人はいないことになります。

そして,この例のように,それぞれの人がいくつかの意味に,多義的に解釈できるような文言を用いて遺言書を作成した場合,せっかく作成した遺言書は全く意味のないものになってしまうばかりか,かえって,この遺言書の解釈を巡って相続人間で争いが起こることになります。

残された家族が,争うことなく円満な相続ができるように遺言を作成したのに,その遺言の解釈を巡って争いが生じたのでは,本末転倒ではないでしょうか。

遺言書作成の際には,遺言者がこれまでの人生の想いを込められるため,どうしても感情的な文言になりがちで,一義的に解釈しづらいという事態が起こりやすくなります。

せっかく,きちんと遺言書を残して死後の「争族」を回避されようとされているのであれば,専門家に遺言書の作成を依頼し,このような事態を避けるために万全を期すべきではないでしょうか。

なお,家庭裁判所の「検認」の手続(民法1004条1項)において,家庭裁判所が有効・無効を判断してくれるから,専門家に遺言書の作成を依頼する必要はない,と誤解されてある方がいらっしゃいますが,そもそも家庭裁判所の「検認」の手続は相続が開始した後の手続である上(同項),遺言書の状態を確定しその現状を明確にする手続であって,遺言書の有効・無効を判断する手続ではありません(大決大正4年1月16日民録21・8)。ご注意ください。

 

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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