死亡退職金の貰い方について

Q 私の夫が会社の業務中に亡くなりました。私たちには,1人の子どもがいます。労働者が死亡した場合には、死亡退職金の支給があると聞いたのですが、私は受取人になるのでしょうか。もし、死亡退職金を受け取った場合には、支払わなければならない税金があるのでしょうか。


A 「死亡退職金」とは、労働者の死亡による退職を機に発生する退職金のことであり、死亡した労働者本人の代わりに、遺族に支払うものをいいます。企業が遺族に死亡退職金を支払う理由としては、亡くなった労働者の功績の対価や、遺族の生活を保障することなどがあります。今回は死亡退職金のうちでも、会社の労働者が死亡した場合について解説します。  

 

死亡退職金の受取人について

 

 死亡退職金の受取人については、会社が就業規則等で定めている場合と定めていない場合で異なってきます。 

 

就業規則等で定めている場合

 

 

 会社が就業規則等で受取人を具体的に定めている場合には、死亡退職金は、その就業規則等の規程によって決められた受取人が取得することになります。そのため、受け取った金銭は、亡くなった方の相続財産には属さず、受取人固有の財産になります。

 したがって、受取人となっている相続人が相続放棄をしても、その方が死亡退職金を受け取れることになります。また死亡退職金は原則として遺産分割協議の対象になりません。

 

 会社が、死亡退職金の受取人の範囲や、支払先の順位を定めるにあたっては、労働基準法施行規則42条~45条あるいは労働者災害補償保険法16条の7に準ずる運用とすることが一般的といえます。

 

 【労基則第42条の順序】

  ① 配偶者(内縁の配偶者を含む)

  ② 生計を一にしていた家族で、子、父母、孫、祖父母の順

  ③ 生計を一にしない子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順

 

 

就業規則等で定めていない場合

 

 会社が、就業規則等に死亡退職金の受取人を定めていない場合には、死亡退職金は相続財産として扱われます。遺言書に受取人の指定があればそれに従い、指定がなければ法定相続分によって分配されるという考えが有力です。
 この場合、死亡退職金は『相続財産』という扱いになりますので、相続放棄をした相続人は、初めから相続人でなかったものとして扱われます。結果として、死亡退職金を受け取ることができなくなります。

 

死亡退職金の金額について

 

 死亡退職金の金額や、計算方法は企業が決めることができるとされていますが、一般的には勤続年数や死亡時の役職等を考慮して決定されています。また、金額の相場や計算方法は、通常の退職金を参考にされていることもあります。

 

死亡退職金の支払時期・必要書類

 

死亡退職金を請求するために必要な書類について

 

 ①退職金請求書
 ②亡くなった労働者の死亡の事実がわかる書類(死亡診断書や除籍謄本等)
 ③死亡退職金の支払い請求を行う人(受取人)と亡くなった労働者との関係性がわかる書類(戸籍謄本)等
になります。

 

死亡退職金の支払時期について

 

 死亡退職金の受給権者(死亡退職金を受け取る権利がある者)から請求のあった日から7日以内(土日祝日を含む)に支払わなければならないとされています(労働基準法23条)。

 

 ただし、就業規則に退職金の支払期日を明確に定めている場合には、労働基準法23条は適用されず、就業規則であらかじめ定めた支払期日に支払えば良いとされています(昭和26年12月27日基収5483号、昭和63年3月14日基発150号)。

 

税務上の扱いについて

 

死亡退職金と弔慰金の違い

 

 死亡退職金の受取人は、相続税の支払いに注意する必要があります。相続税法第3条2号によれば、死亡退職金は、被相続人(亡くなった人)の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続税の課税対象となります。なお、死亡退職金であっても、死亡後3年を経過してから支給が確定したものについては、相続税の課税対象とはならず、遺族の一時所得として所得税の課税対象になります。

 なお、死亡退職金と似たものに「弔慰金」があります。弔慰金とは、亡くなった方を弔う気持ちを表し、遺族を慰めるための金銭をいいます。
 弔慰金には、基本的に相続税がかかりません。ただし、弔慰金などの名目で受け取った金銭のうちでも、実質的に退職金といえるような場合には、相続税がかかるおそれがあります。

 

 【実質的に退職金と判断される基準】
  「弔慰金が、実質上退職手当金に該当するかどうかは、弔慰金を退職給与規定その他これに準ずるものの定めに基づいて受ける場合においては、その規定等により判定し、その他の場合は、被相続人の地位、功労等を考慮し、雇用主が営む事業と類似する事業において同様の地位にある者が受け、または受けると認められる額等を勘案して判定します。」(国税庁ホームページより)

 

 国税庁のホームページでは、以下の金額を弔慰金等に相当する金額とし、その金額を超える部分に相当する金額は、退職手当金等として相続税の対象となるとしています。

 

  ~被相続人(亡くなった人)の死亡が、業務上の死亡であるとき~  

 

 被相続人の死亡当時の普通給与(俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などの合計額)の3年分に相当する額(※これを超えた部分には相続税がかかります。)

 

  ~被相続人(亡くなった人)の死亡が、業務上の死亡でないとき~  

 

 被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額(※これを超えた部分に相続税がかかります。)

 

非課税枠

 

 死亡退職金については、「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額が設けられており、限度額を上回る金額に相続税がかかります。

 

 相続人ではない方が、死亡退職金の受取人である場合は、非課税規定の適用はありません。相続放棄をすると相続人ではなくなる訳ですから,相続放棄をした人は,この非課税枠の恩恵を受けることができなくなりますので,注意が必要です。

まとめ

 

 以上のように、死亡退職金を受け取ることができる人が、自分自身で手続きを進めることはできます。しかし、死亡退職金の受取人であるか否かの判断のためには、会社が作成している就業規則等を確認する必要があります。また、労働者の死亡を機に、会社から受け取った金銭が、相続税の課税対象になるか否かの判断には専門的な知識が必要となります。間違いが生じないようにするためにも、専門家にご相談するのをお勧めします。

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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