相続の悩みを、どのタイミングで、誰に相談すべきか

Q 私の父が先日亡くなりました。母は,3年前に亡くなっております。父の相続人は私と兄がいます。

 父の財産は,預貯金の他に,実家の不動産があり合計の価値は4000万円です。また,預貯金は1000万円あります。
  

 私が長年父の身の回りの世話をした一方,兄は東京に行ったきり実家に帰ることもほとんどなく,疎遠となっておりました。
  

 今回父の相続について、兄と遺産分割協議をしなければならないのですが,兄弟の間で話がまとまりません。また,不動産の名義変更や,税金の申告もしなければならないと聞いたことがあります。

 ネットで「相続」と検索すると弁護士,税理士,司法書士のサイト等が出てきますが違いがよくわからず,どこに相談して良いのか分かりませんので教えて下さい。


A 相続の専門家には弁護士,税理士,司法書士等様々な種類があり,それぞれできること,得意なことも異なります。本記事において,相続の専門家の種類と役割,どの専門家に依頼したら良いのか等を見ていきましょう。

相続問題の専門家

 (1) 弁護士

弁護士のイラスト
ア 弁護士とは


 弁護士は,相続問題を含むあらゆる法律問題を取り扱うことのできる法律の専門家です。弁護士は,他の士業と異なり,家庭裁判所,簡易裁判所,地方裁判所等の全ての裁判所において依頼者の代理人として活動できます。家事事件における紛争案件を扱える唯一の専門家といえます。
    

 また,訴訟や調停だけでなく,裁判外の交渉についても得意としております。さらに,遺言書作成、家族信託の組成等の生前対策、遺産分割協議書の作成や相続放棄の申述などの非紛争案件についても業務としております。
    

 以上のとおり、職域の広さ、活動できるフィールドの広さが弁護士の特徴といえるでしょう。


イ 弁護士に依頼するべき業務
    

 弁護士は,相続に関して,遺言書・遺産分割協議書の作成,遺言執行者への就任,遺言書の検認,相続放棄の申述等,相続人の間に争いのない場合の業務について行うことができます。
    

 これに加えて,相続に関して具体的なトラブルが起こった場合に,遺産分割の交渉や,調停・審判手続,遺留分に関する請求についての代理人になることもできる点が最大の特徴です。弁護士は相続紛争を扱える唯一の専門家です。
    

 例えば,遺産分割の話し合いが相続人間でまとまらない場合や,遺留分の請求をしたい(又はされている)場合,相続人の一人が被相続人の財産を使い込んでいるので追及したいという場合には,相談するべき専門家は弁護士のみということになります。

 (2) 税理士


ア 税理士とは

会計士のイラスト(女性)

 

 税理士は,税金の専門家であり,相続税の申告業務を代理することができる唯一の士業です。
    

 相続税の申告が必要な場合,税理士は非常に頼りになる存在といえます。
    

 相続財産の課税価格が基礎控除額を超えると相続税の申告が必要です。一方,基礎控除額以下の場合には相続税の申告は不要です。
    

 平成27年1月1日以降の相続または遺贈の場合の基礎控除額は,3000万円+600万円×法定相続人の人数となっております。
    

 本件の事案では,相続人が2人であり,基礎控除が4200万円であり,相続財産が5000万円であるので相続税の申告が必要となります。


イ 税理士に依頼するべき業務

 税理士には,相続に関する税金全般について相談することができます。
    

 具体的には,生前の節税の方法の相談,相続財産の評価,相続税の申告,準確定申告,相続税の更正請求などを行うことができます。
    

 相続税の申告をしなければならない,相続税に関する特例などを有効に活用して節税したい,相続税の生前対策をしたい,相続税に関する全般的な相談をしたいという方は,税理士に相談するべきでしょう。

 

 (3) 司法書士


ア 司法書士とは司法書士事務所のイラスト

 

 司法書士は登記手続きの専門家です。被相続人の財産に不動産が含まれている場合,相続人への名義変更をすることになりますが,この点を司法書士に依頼することで手続を円滑に進めることができます。
    

 また,遺言書・遺産分割協議書の作成,遺言執行者への就任,遺言書の検認,相続放棄の申述などについても行うことができます。
  

イ 司法書士に依頼するべき業務
    

 被相続人の相続財産に不動産が含まれている場合の名義変更や,抵当権の抹消等をしたい場合には,司法書士に相談しましょう。
    

 また,被相続人が会社を経営していたり,役員になっている場合には,会社についても登記が必要な場合がありますので,併せて相談すると良いでしょう。
    

 司法書士は,簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等以外,代理人として交渉等を行うことができない点が弁護士との最大の違いです。したがいまして,司法書士は,依頼者の代理人として遺産分割協議や調停、審判を行うことができません。
    

 しかしながら,登記手続きに関しては,通常,弁護士より司法書士のほうが経験があり、専門性が高いので,遺産分割協議が円満に終了している場合には,司法書士に登記申請手続を依頼すると良いでしょう。

弁護士費用の相場


 相続トラブルを弁護士に依頼した際にかかる費用の基本について

 依頼した際にかかる費用として,大きな分類でいうと,弁護士に支払う報酬と,経費の実費に分けられます。

 

ア 報酬

 報酬とはその名の通り,弁護士に依頼することで支払いが発生するものです。
    

 弁護士報酬は,かつては弁護士会の報酬規定(旧報酬規定といいます。)という基準が存在していました。もっとも旧報酬規定は,現在廃止されており,各事務所が工夫をしてそれぞれの基準を設けたり,旧報酬規定と同様・類似の報酬基準を使用している法律事務所もあります。
  

イ 経費の実費
    

 役所や裁判所,郵便局に納付する際の手数料や郵便料金など,弁護士に頼まなくても発生する費用のことをいいます。実費に関しては,まず一定額を法律事務所に預け,事件終了時に預かり金から実際にかかった費用を引いて精算することが一般的です。

 弁護士報酬の種類について


   

 弁護士報酬は,各弁護士が自由に決めることができるのですが,旧報酬規定にならって,『相談料』『着手金』『報酬金』という名目で報酬を設定している弁護士が多いです。

 

 ケースごとの弁護士費用


ア 遺産分割


 遺産分割における着手金は,財産の額,種類に応じて変動する報酬設定をしている弁護士が一般的ですが,最近は着手金を概ね30万円から50万円の範囲内での定額として設定している弁護士も増えています。

 裁判外の交渉については安くし,調停のような裁判所を用いた紛争解決に移行した場合に追加で着手金を支払う内容にしている事務所もあります。
    

 また,報酬金については,獲得した財産の10~15%程度としている事務所が多いようです。

 


イ 遺留分侵害額請求


 遺留分の請求については,基本的には,遺留分の請求額によって着手金は変動します。着手金として,請求額が300万円以下の場合は8%~,300万円を超え3000万円以下の場合は5%程度としている事務所が多いようです。

 

 報酬金については,得られた経済的利益の10%程度としている事務所が多いようです。この点は,判決等を取得した部分について報酬が発生するのか,現実に獲得できた金額について報酬が発生するのかをしっかりとご確認下さい。


 

まとめ


 以上のように相続に関する専門家は種々おりますが,弁護士はできることも多く,相続に関するご相談をいただけましたら,対応できる可能性が高いです。
  

 確かに不動産登記申請や相続税の申告などは他の士業に依頼をしなければなりません。もっとも,弊所では,司法書士や税理士と提携しております。

 したがいまして,弊所に相続手続を依頼されますと、相続に関する紛争は弁護士が豊富な経験に基づき迅速かつ適切に解決し、登記申請が必要なときには司法書士を紹介し,司法書士と連携することで速やかに登記手続きを進めることができます。

 また,生前の相続税対策としても,税理士と連携することで,遺言書作成と節税スキームを構築することで,事前に最適な備えをすることができます。

 また,相続税が発生する場合には,税理士を紹介することで,自分で税理士を探さなくてよくなります。
  

 弊事務所の弁護士は、弁護士歴25年以上の経験の上,税理士・司法書士とも連携し,これまでに多くの専門性を要する相続・遺産分割の相談を受けてきました。机上の法律知識だけでは得られない,多数の相談や解決実績に裏付けられた実践的なノウハウを蓄積しております。
  

 こういった経験から,遺産分割はもちろん,相続全般について,皆様に最適なサポートを提供いたしますので,お悩みの方は,是非一度,弊事務所にご相談ください。

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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