結局いくらかかるの?(相続の弁護士費用全部教えます!)

Q.私の父は先日亡くなりました。母は,3年前に亡くなっております。父の相続人は長女である私と長男である兄,次男である弟がいます。
 父の財産は,預貯金等の金融資産が3000万円の他,実家の不動産(3000万円)があります。
 父は,遺言を作成しておらず,私と兄弟は元々仲が良くないこともあって,遺産分割協議についてもお互いの言い分が対立し,成立にいたっておりません。
 このまま当事者同士で話し合いを進めても解決することが難しいので,弁護士に依頼することを考えています。ただ,弁護士に頼むと費用がすごくかかるのではないかといった不安があります。弁護士に依頼するとどのような費用がかかるのか,教えて下さい。


A.弁護士報酬は,自由化されておりますので,弁護士費用について統一的な基準は存在しません。もっとも,多くの法律事務所においては,弁護士報酬は着手金と報酬金に分けられ,その金額は,依頼者が獲得する経済的利益に比例して計算するという報酬基準を採用しています。以下,比較的多くの事務所が採用している報酬基準を説明しますが,最終的には依頼する弁護士の報酬基準や相続財産の額等によって変わりますので,依頼を検討されている弁護士にしっかりとご確認下さい。

 

相続トラブルについて弁護士に依頼した際にかかる費用の基本について

 多くの方は,法律事務所に行くことはほとんどなく,どのような費用がかかるのかよくわからないと思います。そこで,まずは,相続トラブルを弁護士に依頼した際にかかる費用を基礎から説明いたします。

  
 まず,もっとも大きな分類として,弁護士に支払う報酬と,経費の実費に分けられます。

 

報酬
報酬とはその名の通り,弁護士に仕事を依頼することで弁護士に支払うものです。

経費の実費
役所や裁判所,郵便局に納付する際の手数料や郵便料金など,弁護士に頼まなくても発生する費用のことをいいます。実費に関しては,まず一定額を法律事務所に預け,事件終了時に預かり金から実際にかかった費用を引いて精算することが一般的です。

 弁護士報酬は,かつては弁護士会の報酬規定(旧報酬規定といいます。)という基準が存在していました。もっとも旧報酬規定は,現在廃止されており,各事務所が工夫をしてそれぞれの基準を設けたり,旧報酬規定と同様・類似の報酬基準を使用している法律事務所もあります。

 

弁護士報酬は色々あるけど何が違うの?

 弁護士報酬は,各弁護士が自由に決めることができるのですが,旧報酬規定にならって,『相談料』『着手金』『報酬金』という名目で報酬を設定している弁護士が多いので,以下,これらの報酬について説明いたします。

 

相談料について

 相談料はイメージが湧きやすいかもしれません。基本的には,弁護士に相談をした際にかかる費用のことです。
 

 多くの弁護士が,30分5000円+消費税という基準を用いております。もっとも,近年では,「初回法律相談無料」や,「相続の相談については初回無料」,「交通事故の相談については初回無料」といったサービスをしている法律事務所,弁護士も増えてきております。

 

 なお,ときどき「依頼した後も,相談の都度,毎回相談料が必要なのか?」という質問をいただくことがあるのですが,依頼された案件についての打合せについては,相談料は生じないことが一般的です。

 

着手金について

 着手金とは,事件の成功・不成功にかかわらず,弁護士が手続きを進めるために事件の着手のときに支払うことになる弁護士報酬のことをいいます。


 特徴としては,基本的には,一度払った着手金については,後で気に入らないことがあったり,自分の望む結果にならなかったとしても返還してもらうことができないということです。


 相続事件における着手金は,相続財産の額や請求額に一定の割合をかけて算出することが多いので,詳細については依頼を検討している法律事務所・弁護士にご確認下さい。

 

報酬金について

 報酬金とは,弁護士が扱った事件の成功の程度に応じて受ける成功報酬のことをいいます。

 

~勝訴したら成功?~

 「成功の程度に応じて」といっても,裁判に勝ったら「成功」なのか,それとも現実に回収できてはじめて「成功」なのかどっちなんだろう,と疑問に思われる方もいると思います。


  この点は,契約内容によって異なります。勝訴した時点で裁判所に権利があることを公に確認してもらったのであるから「経済的利益」があるとするという考え方もありますし,実際に回収できてこそ意味があるので,回収できた金額を基準に報酬を計算するべきだという考え方もあります。


  各弁護士,事件によっても異なる部分ですので,しっかりとご確認の上,契約を締結するようにして下さい。

 

その他の報酬等について

日当

 日当とは,一般的には,弁護士が委任を受けた事件を処理するため,遠方の裁判所や現地等に赴いた場合等に発生する報酬のことをいいます。

 

 日当はあくまでも報酬であり,交通費等の実費は別途発生するので注意が必要です。

 

 旧報酬規定においては,日当は,往復2~4時間までを半日として3~5万円,往復4時間を超えると一日分として,5~10万円と定めていましたので,これを採用している弁護士が多いです。

 

時間制報酬(タイムチャージ)

 時間制報酬(タイムチャージ)とは,依頼された事件の処理に必要とした時間に,時間単価をかけて弁護士報酬を計算する方法です。

 

 タイムチャージについては,弁護士・事案の内容によって1時間の単価も異なりますし,上限を設けるかなども異なります。一般的な着手金・報酬金と比較して安くなると思ってタイムチャージ制を選択したのに,事件がダラダラ長引くことでかえって費用がかさむこともありますので注意が必要です。

 

実費

 郵便料金や,裁判所に納める印紙代,交通費など,委任を受けた事件を処理する過程で実際に発生した費用については依頼をした方が負担をすることとなります。

 

 実費で高額になりやすい類型としては,例えば,請求を確保するために不動産についての強制執行をする場合があります。不動産の強制執行すなわち競売をするためには,裁判所に,50万円から100万円程度の予納金が必要となります。

 

 このように,弁護士報酬だけでなく,実費についても高額な場合がありますので,費用倒れの可能性がないかについても検討が必要です。

 

ケースごとの弁護士費用

遺産分割

着手金

 遺産分割における着手金は,財産の額,種類に応じて変動する報酬設定をしている弁護士が一般的です。


 冒頭の事案では,相続財産が合計6000万円,法定相続分3分の1ですので,取得できる相続財産の評価が2000万円になります。旧報酬規定では,経済的利益が「300〜3,000万円」の場合,経済的利益の5%+9万円(税別)として算定することになっていましたので,着手金は109万円(消費税別途)となります。

 

 なお,最近は着手金を概ね30万円から50万円の範囲内での定額として設定している弁護士も増えています。裁判外の交渉については安くし,調停のような裁判所を用いた紛争解決に移行した場合に追加で着手金を支払う約束としている事務所もあります。例えば,交渉の着手金30万円,調停申立てに移行した段階で追加着手金を概ね10万円~20万円程度などと設定しているなどです。

 

報酬金

 報酬金については,獲得した財産の10~15%程度としている事務所が多いようです。

 

 冒頭の事案で,仮に遺産分割の結果,長男が3000万円の不動産を取得,長女が預貯金1500万円と長男から代償金500万円取得,次男が預貯金1500万円と長男から代償金500万円取得した場合,長女であるあなたに発生する弁護士費用は,2000万円の10%である200万円程度となることが多いようです。もっとも,それぞれの弁護士や事案の内容により変動がありますので,依頼を検討されている弁護士にしっかりとご確認下さい。

 

遺留分侵害額請求

着手金

 遺留分の請求については,基本的には,遺留分の請求額によって着手金は変動します。300万円以下の場合は8%~,300万円を超え3000万円以下の場合は5%程度としている事務所が多いようです。この点,依頼の時点では,資料が充分でないことから遺留分を正確に計算することは難しいことが多いです。そのような場合には,着手金の一部として33万円(消費税込み)を支払っていただき,その後請求額が確定した場面で追加着手金を支払っていただくという契約を行うこともあります。

 

報酬金

 報酬金については,得られた経済的利益の10%程度としている事務所が多いようです。この点については,判決等を取得した部分について報酬が発生するのか,現実に獲得できた金額について報酬が発生するのかについてはしっかりとご確認下さい。

 

弁護士費用は誰が払う?

 わがままなことばかり言う相続人がいて,その人が原因で弁護士に依頼する必要が生じた場合,「なんとかその人に弁護士費用を負担させたい!」と思う方は多いかもしれません。


 しかしながら,弁護士費用は,弁護士に依頼した人が払うということになっております。「不公平だ,やっていられない」と思うかもしれません。しかしながら,日本の制度では,弁護士に依頼せずに,ご自身で調停や訴訟をすることも可能であり,弁護士に依頼することが義務づけられている訳ではありませんので,やむを得ないことかと思われます。もっとも,弁護士に依頼をすることで,煩わしい作業や,気が重くなるようなやり取りを弁護士が代行します。また,法令等にのっとり依頼者の利益を最大化するように活動しますので,弁護士に依頼をする意義はあるでしょう。

 

遺産分割において,良い弁護士を選ぶ方法!

 相続案件の解決実績が豊富であること

 まず,1番重要なことは,相続について解決実績が豊富な弁護士に依頼をすることです。

 

 弁護士の職域は広く,男女関係から宇宙開発まで,法がある限り弁護士の仕事になり得ます。
   

 しかしながら,単に法律上代理人になれることと,現実に依頼者の利益を最大化し,当事者が納得できるような事件解決ができることは全く異なります。弁護士一人一人は,その能力,資質が全く異なるのです。
  

 そして,相続に関して豊富な解決実績を有している弁護士に依頼することで,相続事件を適切かつ迅速に解決できる可能性が高いでしょう。

 

 相続は法律上のルールが多岐に渡るほか,各種の財産を取り扱う関係で,不動産や金融などの遺産の種類毎の知識も必要です。また,相続やそれに付随する不動産の処分などには税金の問題も絡んでくることがあります。したがいまして,これらの点に詳しい弁護士を選ぶことも重要なことでしょう。

 

話をしっかり聞いてくれて、メリット・デメリットの両方を説明する弁護士に依頼しましょう。

 良い弁護士というのは、相談者の希望をしっかり聞いたうえで、その希望を実現するための方法や、実現できるかどうかを忖度なしに伝えられる弁護士だと思います。相続に関する法律上の決まりには、感情的には納得しにくいこともあるのが現実です。


 例えば、介護を一生懸命していた相続人と、全く何もしていなかった相続人がいたとしても、それ以外の条件が同じだった場合、遺産は同じ割合で分けることが原則です。

 そのため、私たち弁護士はあなたの希望通りにいかないこともお伝えすることがあります。納得できないことかもしれませんが、甘い見通しのもとに,できないことをできると言って報酬をいただくような弁護士は良い弁護士とはいえません。

 あなたにとって本当に正しい提案をしてくれる弁護士かどうかを見極めることが重要です。

失敗しない弁護士の選び方

※別ページに移動します。

 

まとめ

 多くの人はこれまで,弁護士に依頼をしたことがないでしょう。また,弁護士に頼むとおおごとになる,お金がすごくかかると思われているかもしれません。まずは本記事に書いてある内容をもとに,弁護士費用の大枠をつかむのが良いでしょう。そのうえで,実際に弁護士に依頼をする際には,弁護士費用について遠慮なく質問をし,納得をしたうえで依頼をするようにして下さい。

 

 当事務所は、弁護士歴25年以上の経験の中、多くの専門性を要する相続・遺産分割の相談を受けてきた弁護士のもとで,机上の法律知識だけでは得られない,多数の相談や解決実績に裏付けられた実践的なノウハウを蓄積しております。弁護士費用に関しても,弁護士が丁寧に説明をし,きちんとご納得いただいてから,ご契約をしていただいております。

 

 相続全般について,皆様に最適なサポートを提供いたしますので,お悩みの方は,是非一度,当事務所にご相談ください。

 

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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