子どもたちは仲が良いので、相続で揉めることはないですか?~遺産相続の際に兄弟が揉めるケース・原因~
目次
Q 私が亡くなった際の相続について教えてください。
私には、子どもが4人います。長男は、結婚後も私と同居していますが、長女・二女・二男は結婚し
て、それぞれ実家を離れています。
4人とも幼い頃から仲が良かったので、今も特に仲が悪いという話は聞いたことがありません。この
ような場合は、私が亡くなった後に、相続で揉めることはないと考えてよいでしょうか?
A 仲の良い兄弟・姉妹であっても、相続が開始してから、揉めるケースがあります。そのため、生前に
遺言書を作成しておくことをおすすめしています。
普段仲が良くても、いざ相続の場面となると、今までの境遇や少しでも多く財産を得たいという感情
(あるいは、お金が必要な事情が生じるなど)から対立する場合や、遺産の分け方で意見が一致しない
場合など、遺産相続で兄弟姉妹がもめるケースは様々です。
以下で詳しく説明します。
遺産相続の揉め事は、仲が良くても起こりうることです・・・
兄弟・姉妹の仲が良くても、遺産分割の方法について不満を抱く場合があります。それは、今までの境遇の違いなどの感情的な要素~生前贈与の有無などの経済的な要素まで様々です。
そのため、生前には、兄弟姉妹間で争うことはないように見えても、潜在的な紛争のリスクは常に存在しており、気が付けば「争族」となっている場合もあります。
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兄弟・姉妹間で揉めるケース
【ケース①】相続財産が不明確な場合
親と同居していた兄弟・姉妹がいる場合には特に、「親の財産を、同居の兄弟姉妹が隠しているのではないか」と他の相続人が疑問に思い、感情的な対立へと発展していく場合があります。
自分の財産について、何が・いくらあるのかを正確に把握している人は意外と多くありません。
まずは、ご自身がご存命のうちに財産を確認し、目録を作るなどして、亡くなった後に、兄弟・姉妹間で不信感を生じさせないようにする必要があります。
【ケース②】兄弟・姉妹の1人のみが介護をしていた場合
兄弟・姉妹のうち、1人のみが親の介護をしていた場合、「介護の貢献度を相続分に反映して欲しい」と申し出ることで、紛争に発展する場合があります。もちろん、兄弟・姉妹間で合意できれば問題ないですが、介護の苦労は、介護を行った本人にしか分からず、紛争に発展しやすい部分となっています。
そのため、ご自身がご存命のうちに、介護してくれる子どもだけでなく、他の子どもとも、介護についてきちんと話し合っておく必要があります。
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【ケース③】相続財産が不動産だけの場合
相続財産が自宅などの不動産だけの場合、その不動産を誰が相続するのか、売却して売却代金を分割するのかなど、分割方法で揉める可能性があります。
なお、兄弟・姉妹間で共有名義としてしまうと、いずれ不動産を処分する際には、名義人全員の同意が必要となります。そうすると、孫の代以降に遺産分割の問題を先送りにしたに過ぎません。
ご自身がご存命のうちに、自宅不動産をどう相続するのか家族全員で話し合っておき、もしも兄弟・姉妹の1人が相続するなら、他の子どもに代償金として金銭を支払う用意があるかなどを確認しておく必要があります。
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【ケース④】生前贈与や遺贈によって不平等が生じている場合
結婚祝いや出産祝い、マイホーム購入の頭金などで、子どもにお金を援助したことがある人も多いのではないでしょうか。結婚や出産の有無、マイホームの有無等で、各子どもに渡した金額に差がある場合は、相続が発生した際に、均等に分割することに対して、不満を覚える子どもがいる場合があります。
また、遺言書を作成した際に、特定の子どもに多く相続させてしまうと、それが感情的な対立へと発展していくこともあります。
残された子どもは、亡くなってしまったあなたに真意を確認することができません。そのため、渡したお金の金額や財産の量=愛情の量 であると無意識に考えてしまうことがあり、それが感情的な対立を生じさせることもあります。したがって、ご存命のうちに遺言書をしっかりと作成しておくだけではなく、その内容(財産をどのように相続させるか)を慎重に検討する必要があります。
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【ケース⑤】 前妻・前夫との子どもがいる場合
前妻・前夫との子どもと、後妻・後夫との子どもは、そもそも交流がないなど、信頼関係が築かれていない場合が多いと思います。子どもであれば、全員が相続人となりますので、お互いの境遇の差や生活水準の差などから、感情的な対立に発展する場合があります。
そのため、それぞれの子に対して、どのように遺産を相続させるか・揉め事にならないための対策についても、生前の内に十分に考えておく必要があります。
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【ケース⑥】 配偶者による口出し
兄弟・姉妹間で仲が良く、相続財産の分割方法について争うつもりがなかったとしても、兄弟・姉妹の配偶者が横から意見を述べることで、遺産分割が円滑に進まない場合もあります。
ご自身がご存命のうちに、遺産分割の方法や手続きの流れについて決めておかないと、思わぬ人物の影響を受けて、兄弟・姉妹間の紛争に発展する可能性があることにご注意ください。
揉めないようにするにはどうすればいい?
遺産相続の際に、兄弟・姉妹が揉めないようにするには、ご自身の生前に遺言書を作成して、誰が・どのように遺産を相続するかを事前に決めておくことが重要です。
そしてその際に、漏れなく財産目録を作成して、遺産の範囲を確定しておくだけでなく、「どうしてこのような内容の遺言書を書いたのか」という理由や、各相続人への感謝の言葉などを述べた『付言事項』を記載しておくことをおすすめします。
ただし、遺言書を作成していても、無効な遺言書や、内容が不明確な遺言書を作成してしまった場合には、兄弟・姉妹間で争いに発展する可能性があります。
そのため、遺言書の作成を考えている方は、一度専門家に相談してから作成することをおすすめします。
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まとめ
どんなに仲の良い兄弟姉妹であっても、相続が開始してから揉めるケースは多く見られます。いざ相続の場面となると、今までの境遇や、少しでも多くの財産を得たいという感情から対立する場合や、遺産の分け方で意見が一致しない場合など、遺産相続で兄弟姉妹が揉めるケースは様々です。
そのため、揉め事になる可能性を少しでも減らすために、事前に遺言書を作成しておくことをおすすめします。
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