親と同居!家を相続して住み続けるには?実家に住んでいる人はどうなるか弁護士が解説

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親と同居!家を相続して住み続けるには?実家に住んでいる人はどうなるか

親の家を相続しても、遺産分割協議が終わる前に突然追い出されることはありません。しかし、勝手に自分名義に変更することはできず、一時的に「相続人全員の共有状態」となるため、そのまま住み続けるには「単独名義」にするための法的手続きが必要です。

具体的には、
①事前に遺言書を作成してもらって相続する方法
②遺産分割協議で相続する方法
の2つが考えられます。

本記事では、親と同居している方が実家を相続してそのまま住み続けるための具体的な方法や、相続税を抑える特例、よくある兄弟間のトラブルについて、弁護士がわかりやすく解説します。

 

1.親の家を相続したら、実家に住んでいる人はどうなるの?

【結論】法律上は一時的に「相続人全員の共有状態」となります。すぐに追い出されることはありませんが、放置したまま住み続けると様々なトラブルのリスクが生じます。

親の家に同居していたからといって、無条件で優先的に家を相続できるわけではありません。遺産分割協議が完了するまでは、実家は相続人全員の共有財産となります。

「誰も住まないし、とりあえず共有名義のまま自分が住み続ければいい」と考えるのは非常に危険です。共有状態を放置すると、以下のようなリスクが生じます。

賃料の請求リスク:他の相続人から、持ち分に応じた家賃相当額(不当利得または損害賠償金)を請求される可能性があります(最高裁判例平成12年4月7日判決)。
自由に使えない:家のリフォームや賃貸に出すには他の相続人の過半数の同意(民法第252条1項)が、売却や解体には「全員の同意」が必要になります(同251条1項)。
権利関係の複雑化:兄弟姉妹が亡くなると、その子どもや孫へ権利(持分)が細分化して引き継がれ、将来的に収拾がつかなくなります。

家を残すためには、誰か一人の「単独名義」にするための協議が不可欠です。

 

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2.家を相続してそのまま「住み続ける」ための具体的な方法

【結論】実家に住み続けるためには、「(1) 遺言書を作成しておく」「(2) 代償分割で単独相続する」「(3) 配偶者居住権を活用する」といった具体的な対策が必要です。

家の名義を単独にして住み続けるための主な方法を解説します。

 

(1) 事前に「遺言書」を作成してもらう

親が元気なうちに「同居している〇〇に実家を相続させる」という遺言書を書いてもらう方法です。これによって親が亡くなった際に、その家の所有権を取得することができ、従来どおり住み続けることができます。

また、遺言書を作成してもらえば、他の相続人の同意なしで単独で相続登記をして名義の変更ができます。

ただし、他の兄弟の最低限の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」を侵害している場合、後から金銭(遺留分侵害額請求)を求められる可能性がある点には注意が必要です。

 

詳しくはこちら

>>「父が作成した遺言書で、姉8割・私2割の遺産分配となっていました。どうにかなりませんか?」

そのため、親に遺言書を作成してもらって、家を相続する際には、他の相続人からの『遺留分侵害額請求』に備えて、現金を準備しておくなど、対策が必要になります。

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(2) 遺産分割協議での「代償分割」と「換価分割の回避」

相続人全員の合意(遺産分割協議)により、同居している人が単独で家を相続する方法です。

「遺産分割協議」の場合は、相続人全員が遺産の分割方法に納得し、合意すればよいので、必ずしも財産を平等に分配する必要はありません。また、『遺産分割協議』の結果、相続することになった財産については、遺留分侵害額請求をされるおそれもありません。

極端な話、【被相続人が所有していた全ての財産は、長男1人で相続する】という内容であっても、全員が合意すれば可能ということです。

もっとも、家の価値が自身の本来の相続分を超える場合、他の兄弟に対して現金などを支払う「代償分割」により解決することが一般的です。

例えば、相続人が兄弟姉妹3人(長男・弟・妹)で、実家の不動産の評価が3000万円、それ以外に相続財産がなく、長男が3000万円の家を相続した場合は、長男の相続分である1000万円を超えて相続していますので、それぞれ1000万円ずつを弟・妹に支払わなければなりません。

もし代償金となる現金を用意できず協議が決裂すると、最終的に「家を売却して現金で分ける(換価分割)」という審判が言い渡され、家に住み続けられなくなるリスクがあります。

そのため、遺産分割協議で不動産を相続したい場合は、代償金を準備する必要がありますので、ご注意ください。

 

解決事例

>>「不動産の処分方法について複数のシミュレーションを提示することで代償金を低額に抑えて有利な解決ができた事案」

 

(3) 【配偶者向け】「配偶者居住権」の活用

もしあなたが亡くなった人の「配偶者」である場合、家の所有権は他の相続人(子どもなど)に譲りつつ、あなた自身は一生涯(または一定期間)、無償でその家に住み続けられる「配偶者居住権」を設定することも可能です。

 

3.同居なら相続税が大幅に安くなる? 「小規模宅地等の特例」

【結論】同居の親族が実家を相続して住み続ける場合、「小規模宅地等の特例」を利用することで、土地の相続税評価額を最大80%減額でき、相続税を大幅に安くできる可能性があります。

親と同居していた家を相続できたとして、次に気になるのが相続税申告です。

相続財産の額が、基礎控除の範囲内であれば、相続税の支払いは必要ありません。しかし、相続財産の額が、基礎控除の範囲を超える場合には、相続税申告が必要となります。不動産は、相続税の算定において、土地は原則『路線価』、建物は『固定資産税評価額』で評価します。路線価地域ではない土地については固定資産税評価額に国税庁が地域や地目ごとに定めた倍率をかけて算定します。

また、相続税法上の特例の利用によって不動産の評価額を低く抑えることができます。不動産の評価額が低く抑えられるということは、相続財産全体の評価額が下がるため、納税額を減額または基礎控除額の範囲内となり課税されなくなる可能性があります。

実家の相続において、一定要件を満たした同居親族が土地を相続する場合、一定面積までの土地の評価額が最大80%オフになる「小規模宅地等の特例」が使えるケースがあります。

なお、『小規模宅地等の特例』の適用を受ける場合には、相続税申告期限内に相続税申告をする必要があります。たとえ、特例適用の結果、相続財産が基礎控除内の金額になって、相続税が発生しないとしても、相続税の申告をしなければ特例の適用を受けられず、相続税の課税対象となります。

なお、『相続時精算課税制度』を利用して、生前に自宅の贈与を受けていた場合には、『小規模宅地等の特例』を適用できませんので注意が必要です。

 

小規模宅地等の特例』について詳しくはこちら

>>「高級住宅の自宅購入での節税(小規模宅地等の特例適用による節税)」


詳しい要件や税制優遇については、税理士等の専門家と連携した事前のシミュレーションをおすすめします。

 

4.【要注意】同居の相続でよくある兄弟間のトラブル

【結論】実家の土地に兄弟が家を建てているケースや、生前贈与が行われていたケースでは、「特別受益」などが絡み、遺産分割が泥沼化しやすいため要注意です。

同居の家をめぐる相続では、以下のような複雑なトラブルがよく起こります。

 

よくあるトラブル例

(1) 「亡くなった親の土地に、兄弟が自分名義の家を建てて親の土地を無償で使っている場合の遺産分割はどうなりますか?

親の土地に無償で家を建てることは「使用借権」にあたり、親から特別な利益を受けた「特別受益」とみなされる可能性があります。遺産分割の際には、この特別受益を考慮して全体の遺産を計算し直す(持ち戻し)必要があり、兄弟間で「どれだけ利益を得たか」を巡って激しく揉める原因となります。

>>「亡くなった親の土地に,兄弟が自分名義の家を建てて親の土地を無償で使っている場合の遺産分割はどうなりますか?」

 

(2) 親と同居していた兄弟姉妹が、「自分が親の介護をしていた」「生活費を親に渡していた」と主張し、自身の遺産取り分を増やす「寄与分(きよぶん)」を強硬に求めてきて話し合いが進まないケース

>>「親の老後の面倒を見た子が財産を多く相続できる方法とは?」

 

(3) 実家に住んでいる長男などが「遺産を独り占め」しようとするケース

「長男が財産を引き継ぐべきだ」という古い考えのもと、実家に住み続けている長男が他の兄弟の相続権を否定し、不動産や預貯金を独り占めしようとするケースです。特定の相続人が実家にそのまま住み着いてしまっていることで、他の相続人はその不動産を利用できず、退去も求められないため「賃料相当損害金(家賃相当額)」を請求するといったトラブルに発展します。

>>「長男が遺産を独り占めしています。何か対処法はありますか?」

 

5.同居の家の相続に関するよくある質問

Q1:親の家を相続したら、実家に住んでいる人はどうなるの?

A:基本的には、他の兄弟から突然追い出されることはありません。

法律上、遺産分割協議が終わるまでは住み続ける権利が認められているからです。ただし、最終的に家を誰が相続するかで揉めるケースが多いため、早めの対策が必要です。 [▶詳しくはこちら]

 

Q2:他の相続人から「とにかく現金が欲しいから、今すぐ家を売って現金を分けてくれ」と強硬に主張してきた場合、強制的に家を追い出されてしまうのでしょうか?

A:すぐに追い出されることはありませんが、最終的に売却せざるを得なくなるリスクはあります。遺産分割調停で解決することができず、審判や共有物分割訴訟まで発展した場合、裁判所が「家を競売などで売却して現金で分ける(換価分割)」という判決を出す可能性があります。

このような事態を防ぐためにも、遺言書の作成や生命保険などを活用して代償金用の資金を準備しておくことが極めて重要となります。

 

Q3:遺産相続で長男が独り占めすると主張してきたらどうすればいい?

A:長男であっても遺産を法的に独り占めすることはできません。法的に有効な遺言書がない限り、相続人全員での遺産分割協議が必要です。たとえ遺言書で「長男に全て譲る」とあっても、他の兄弟には最低限の取り分である「遺留分」を請求する権利があります。 [▶詳しくはこちら]

 

Q4:親の面倒を見た(介護した)ら、その分遺産を多くもらえる?

A:「寄与分」として、遺産を多くもらえる可能性があります。 ただし、通常の家族の助け合いを超える「特別な貢献(長期間の無償介護など)」であることを、介護記録や領収書などの客観的な証拠で証明する必要があります。 [▶詳しくはこちら]

 

Q5:母は生前、「ずっと一緒に住んでくれたから、この家は長男のお前に任せる」と口頭で言っていました。これは遺言として認められますか?

A:残念ながら、口頭での言葉だけでは法的な『遺言』としては認められません。 法的に有効な遺言書とは、民法で定められた厳格なルールに従って作成された書面(自筆証書遺言や公正証書遺言など)のことを言います。録音やビデオメッセージであっても遺言書としての効力はありません。法的に有効な遺言書がない場合、たとえ被相続人の生前の言葉があったとしても、相続人全員で『遺産分割協議』をする必要があります。

 

Q6もし母に「借金」があった場合、唯一の財産である家を単独で相続する私がすべての借金を背負うことになりますか?

A:原則として、借金(マイナスの財産)は遺産を誰が継ぐかに関わらず、法定相続分に応じて当然に分割して引き継ぐことになります。仮に被相続人の全財産を相続した相続人がいたとしても、借金については相続人が法定相続分に応じて引き継ぐこととなります。ただし、お金を貸している側(債権者)の同意があれば、「私が借金をすべて引き受ける代わりに、家を相続する」といった話し合いができる場合もあります。

もし借金が家の価値を上回るような場合は、『相続放棄』も検討すべきですので、早急に専門家へご相談ください。

 

6.実家の相続で揉めないために弁護士に相談するメリット

親と同居していた実家を相続して住み続けるには、感情的な対立を防ぎつつ、代償金の調整や遺留分への配慮など、法的に正しい手順を踏む必要があります。

弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

 

・共有物分割や換価分割(売却)を回避し、家に住み続けるための最適な法的主張ができる
・他の兄弟との遺産分割や代償金の交渉をすべて任せられる
・「特別受益」や「寄与分」など、複雑な計算や証拠集めをサポートしてもらえる

 

7.まずは一度、岡本綜合法律事務所へご相談ください

当事務所には、弁護士歴30年以上の経験豊富な弁護士が在籍しております。机上の法律知識だけでなく、多数の相談・解決実績に基づいた実践的なノウハウで、ご相談者様が住み慣れた家を守れるよう徹底的にサポートいたします。

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この記事の監修者

監修者:弁護士・税理士 岡本成史

【専門分野】

相続、不動産、企業法務

 

【経歴】

平成6年に、京都大学法学部在学中に司法試験合格。平成9年に弁護士登録後、大阪の法律事務所勤務を経て、平成18年10月に司法修習の配属地でもあった福岡で岡本綜合法律事務所を設立。

 

平成27年に相続診断士を取得し、相続の生前対策に積極的に取り組む。また、平成29年には宅地建物取引士(宅建)、平成30年には家族信託専門士、税理士の資格を取得・登録。不動産や資産税・相続税にも強い福岡の弁護士として活動している。

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